2001年は、カラヴァッジョ展が目白押しの年でした。
今回確認するのは、宮下氏が「カラヴァッジョだけではなく、カラヴァッジョ上京時と逃亡後のローマ美術を新たな視点からとらえた優れた展覧会」と評している次の展覧会です。
「THE GENIUS OF ROME 1592-1623」
ロンドン、ロイヤル・アカデミー
2001年1月20日~4月16日
「CARAVAGGIO E IL GENIO DI ROMA, 1592-1623」
ローマ、パラッツォ・ヴェネティア
2001年5月10日~7月31日
確認のベースとなる手元の本はロイヤル・アカデミー発行のソフトカバーの英語版です。
外国語で美術書を読む能力のない、図版眺める党の私。
この本は、12テーマ・51人の画家の出品作143点の図版が載っています。
また、133枚の参考図版もカラーで、かつ図版の大きさも出品作ほどの大きさではないが相応の大きさ。
部分拡大図版もおもしろく、当時のローマ画壇の状況がなんとなく感じられる、非常に楽しめる本です。
本としてお勧めです。展覧会の企画自体がすばらしいということでしょう。
(ただ、左右反転の図版が混じっているのは残念。)
ロンドンとローマでは、展示作品は異なっていたようですが、具体的には確認できていません。推測できるのは、
①ロンドンの展示作品は、この本掲載の143作品であろう。
②この本の巻末の作品リストには、51作品に「ロンドンのみ」と表示されている。その表示のない92作品はローマでも展示されただろう。
③ローマでは、ロンドンで展示されなかった作品も相当数展示されただろう(インターネットでは総計170点との記載も見られた)。
以下では、手元の本に従い、12のテーマ(英語表示のまま)、各テーマの出品点数(およびカッコ内に本に掲載の参考図版の枚数)、そして出品されているカラヴァッジョ作品名と所蔵先(*印は「ロンドンのみ」表示の作品)を記載します。
1 The Birth of the Baroque : Painting in Rome 1592-1623
9点(10枚)
・果物を剥く少年(東京、個人蔵)
2 Cardsharps, Gypsies and Street Vendors
7点(13枚)
*女占い師(ローマ、カピトリーノ美術館)
*いかさま師(フォートワース、キンベル美術館)
3 Painting Nature: Fruits, Flowers and Vegetables
11点(8枚)
・果物籠を持つ少年 (ボルゲーゼ美術館)
4 Painted Music: ‘A New and Affecting Manner’
9点(10枚)
・合奏(ニューヨーク、メトロポリタン美術館)
・リュート弾き(ニューヨーク、メトロポリタン美術館)
5 The Classical Tradition
8点(9枚)
なし
6 Portraiture: From the ‘Simple Portrait’ to the ‘Ressemblance Parlante’
13点(16枚)
なし
7 The Enticement of the North: Landscape, Myth and Gleaming Metal Supports
17点(9枚)
なし
8 Towards the Pure Landscape
22点(12枚)
なし
9 The Black Wings of Envy: Competition, Rivalry, Paragone
5点(10枚)
・茨の冠(プラート、貯蓄銀行蔵)
*エッケ・ホモ(ジェノヴァ、パラッツォ・ロッソ)
・瞑想の聖フランチェスコ(ローマ、カプチン聖堂)
10 Between the Sacred and Profane
11点(10枚)
・ユディトとホロフェルネス (パラッツォ・バルベリーニ国立古代美術館)
・洗礼者ヨハネ(カンザス・シティ、ネルソン=アトキンス美術館)
11 ‘An Ineffable Light and Splendour’: Nocturnes, Night Scenes and Artificial Illumination
15点(12枚)
*聖フランチェスコの法悦(ハートフォード、ワズワース・アシーニアム)
*キリストの捕縛(ダブリン、アイルランド国立美術館)
12 The Arts and Craft of Sainthood: New Orders, New Saints, New Altarpieces
13点(13枚)
・ロレートの聖母(ローマ、サンタゴスティーノ聖堂)
*キリストの埋葬(ヴァティカン絵画館)
カラヴァッジョは全15点(うち「ロンドンのみ」は6点)。
続きは次回。