東京でカラヴァッジョ 日記

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ダイアン・クライスコレクション/アンティーク・レース展(渋谷区立松濤美術館)

2018年06月24日 | 展覧会(その他)

 

ダイアン・クライスコレクション
アンティーク・レース展
2018年6月12日〜7月29日
渋谷区立松濤美術館
 
 
   ダイアン・クライス氏は、1954年、ベルギー・アントワープ生まれで、現在日本在住のアンティーク・レースの鑑定家・コレクター。レース職人でコレクターだった祖母の膨大なレースコレクションに囲まれて育ったという。
 
 
   氏のコレクションより、16世紀から19世紀のレース全盛期の作品を中心に約170点が紹介される本展。
   横浜・そごう美術館、京都・美術館「えき」にて開催され、今回松濤美術館に巡回。
 
 
   16世紀のイタリアとフランドル地方のレースから始まって、精巧さが増していく。
   なんでも、「メッヘレン・レース」という技法、初めてその技法名に土地名が付けられた技法であるらしいが、現在入手可能な最も細い糸で1cm2作るのに1時間かかるというのに、それよりもずっと細い糸が使われているという。凄い。
 
 
   18世紀後半の産業革命と機械編みレースの登場。これまでの手工業のレース生産は衰え、多くのレース編み技法が失われる。産業保護の対象となる。ナポレオン、ナポレオン3世、ヴィクトリア女王、第一次世界大戦時の米国フーヴァー大統領。
 
 
 
展覧会の構成
 
第1章   誕生と変遷
第2章   レースに表現されるもの
第3章   王侯貴族のレース
第4章   キリスト教文化に根付くレースの役割
第5章   ウォー レース
 
 
 
   王侯貴族がこぞって求めた高価なレースのほか、第4章では、人々の人生の節目の宗教儀式(洗礼、初聖体拝領、結婚、喪など)にも用いられてきたレースが紹介される。
   1860年制作、クライス氏の曽祖母から6世代にわたって代々受け継がれてきた「洗礼用ヴェール、ドレス、ボンネット」。それを身につけた氏の孫娘の写真も参考掲示されている。
 
 
 
   こんなにも細い糸で、様々なデザイン・モチーフをこんなにも微細精巧に描きつつ、こんなにも大きなサイズの製品に仕上げる。アンティーク・レースの超絶技巧。
 
   レースの知識・関わりゼロの私ではあるが、その超絶技巧に感心するとともに、注ぎ込まれた手間暇の大きさを想像する。
 


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