東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

「平治物語絵巻」巡り

2012年04月27日 | 展覧会(日本美術)

「平治物語絵巻」は、現在は3巻と色紙状に切断された数葉のみ現存し、別に2巻分の模本が伝わっているのだそうです。
そして、現存する3巻が、この春東京で同時期に公開されます。
ということで、1日かけ、「平治物語絵巻」巡りを敢行しました。


1「信西巻」


 静嘉堂文庫美術館
 「東洋絵画の精華」前期「珠玉の日本絵画コレクション」
 2012年4月14日~5月20日


まず、初訪問となる静嘉堂文庫美術館へ。「ボストン美」の半券を提示し、200円引きでの入場。


「信西巻」は、期間中の巻き替えがあり、3回に分けての展示となります。
第1期(4/14-26) :第1段と第2段の前半場面
第2期(4/28-5/8):第2段と第3段(第2段の前半場面を含む)
第3期(5/9-20) :第4段
2回なら両方行こうかと思っていたけれど、3回はさすがに無理。


「信西巻」は信西の最期をテーマとしたものです。
第2段前半には、山中で自害する信西が描かれています。
本絵巻としては唯一の「緑青を多用した風景表現」が見所でしょうか。


「平治物語絵巻」以外に、絵巻は「住吉物語絵巻」「駒競行幸絵巻」の2点、その他展示替えを含め全36点の展示。
京の賑わいを描く「四条河原遊楽図屏風」(全期間展示)。
画面中央を流れる鴨川、やまあらしの見世物、行き交う老若男女の表現等、かなり楽しめました。
酒井抱一「波図屏風」(5/6まで)も印象に残ります。


入場時に配布される全8ページのリーフレットが素敵です。
展示作品中、錦絵7点と他1点を除く28点がカラー写真つきで紹介されています。

 

2「六波羅行幸巻」


東京国立博物館 総合文化展
2012年4月17日~5月27日


「六波羅行幸巻」は国宝室にて。
巻き替えの予定はないようですが、フルオープンされているわけでもないようです。
場面の説明は一切なく、おかげでさっぱりわからなかったです。

 

3「三条殿夜討巻」


東京国立博物館
ボストン美術館 日本美術の至宝
2012年3月20日~6月10日


約1か月ぶりの再訪です。
後白河上皇の拉致と御所三条殿の焼討を描いた巻。前回は、「牛車の車輪の線が何重にもひかれ、スピード感が表されている」ところや、炎の表現など、ダイナミックな表現を中心に観賞しました。
今回は、混乱のなか、逃げまとい、命を落とす女性たちに注目しました。


改めて認識したのですが、男性の顔は丁寧に描かれているのに対し、女性はのっぺらぼうなのですね。
後代に削り落としたのかとも思ったのですが、最初から描かれていないのですよね。
ものすごい顔をしていたのでしょうね。
二人ほど、まゆ・目・口らしきものが描かれています。
一人は最後の段の右端の上のほう。なんとか逃げ切ったものの呆然としているところでしょうか。
もう一人は井戸付近で命を落とした女性。うっすらと血の涙!らしきものも見えます。
その二人とは別に、胸をはだけた状態で倒れている女性も見られます。
男性たちの思惑に巻き込まれ、命を落とす女性たち。戦の不条理を感じました。

 

さて、3点通して鑑賞した感想です。
「三条殿夜討巻」が一番優れていそうということ。
そして、戦の場面の連続で、うんざりとした、ということでしょうか。



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