大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年
2012年4月25日~7月16日
国立新美術館
本展の目玉、マティス「赤い部屋」は是非見ておきたい。
他はそれほど期待しない(対象期間が400年と長いし、「大」エルミタージュ美術館展と題されているし)。
そういう気持ちでの訪問でしたが、期待以上に見応えのある作品が多く、楽しめました。
以下、気に入った作品を並べます。
第1章 16世紀 ルネサンス:人間の世紀
1)ティツィアーノ「祝福するキリスト」
晩年(1570年頃)の作品。
2)パルマ・イル・ヴェッキオ「キリストと姦淫の女」
描かれた人たち(キリストを除く)の顔を楽しみました。
3)ルイーニ「聖カタリナ」
スフマート技法で描かれたレオナルド派らしい作品。
4)レオナルド派「裸のモナリザ」
現在開催中のBunkamuraレオナルド展で「裸のモナリザ」が4点出品されていますが、同時期にエルミタージュ所蔵作品まで見ることができるなんて。制作が16世紀末とあるので、レオナルド周辺の画家の作品ではなさそうです。
第2章 17世紀 バロック:黄金の世紀
5)ダーフィト・ライカールト(3世)「農婦と猫」
農婦の表情。猫の姿。ユーモラスな小品。
6)レンブラント「老婦人の肖像」
物思いにふける婦人。顔や手の甲の表現に見入ります。
7)ホントホルスト「幼少期のキリスト」
オランダ・ユトレヒトで活躍したカラヴァッジェスキの一人。題材がほのぼのしてていいですよね。
第3章 18世紀 ロココと新古典派:革命の世紀
8)ルブラン「自画像」
昨年の三菱一号館美術館の「ルブラン展」にも出品。お気に入り作品にカウントしていたところ、早くも再会。
9)ジョヴァンニ・パオロ・ヴェルネ「パレルモ港の入り口、月夜」
グランドツアー時代に流行したイタリア風景画。月の描写、素敵ですね。
10)ライト・オブ・ダービー「外から見た鍛冶屋の光景」
以前より関心はあるのですが見る機会に恵まれません。今回はいい機会、光と影の表現に注目します。
追加)ユベール・ロベール「古代ローマの公衆浴場跡」
大画面でなかなかの迫力。この絵を見て即、国立西洋美の「ユベール・ロベール」展に行きました。
第4章 19世紀 ロマン派からポスト印象派まで:進化する世紀
11)レオン・ボナ「アカバの族長たち(アラビア・ベトラエア)」
オリエンタリズムの作品。色彩を楽しみます。
12)ジェイムズ・ティソ「廃墟(内なる声)」
身を寄せ合う3人。でも夫婦はキリストに気付いていないのでしょう。
第5章 20世紀 マティスとその周辺:アヴァンギャルドの時代
13)マティス「赤い部屋(赤のハーモニー)」
約20年前に笠間日動美術館で開催された「マティス展」以来の再会。大画面いっぱいの赤に惹かれます。
14)マティス「少女とチューリップ」
「赤い部屋」とは大きさも色彩も違いますが、マティスらしい描写を楽しみます。
15)ピカソ「マンドリンを弾く女」
キュビズム時代で女性をモデルとした作品は好みです。
その他備忘録
◇本展のドメニコ・ティントレットは、有名なヤコボ・ティントレットの息子。
◇スケドーニ。2007年国立西洋美「パルマ展」の「キリストの墓の前のマリアたち」(パルマ国立美)の衝撃以降、関心大の画家。今回2作品出品でしたが、お気に入りカウントには至らず。
◇ルーベンスの2作品は今回の目玉のひとつ。「虹のある風景」、「ローマの慈愛(キモンとぺロ)」。好みではない。
◇ジョシュア・レノルズ「ウェヌスの帯を解くクピト」は宣伝に使われているようですが、疑問。
以上、16時半過ぎの訪問で、約80分の滞在でした。