「うらめしや~、冥途のみやげ」展
ー全生庵・三遊亭圓朝 幽霊画コレクションを中心にー
2015年7月22日~9月13日
東京藝術大学大学美術館
後期入りの「うらめしや~展」を早速訪問する。
前後期で作品がほぼ完全入替えとなる本展、後期から登場の作品を中心に記載する。
第2章 圓朝コレクション
コレクション全50幅中、通期展示2幅と後期展示24幅の展示。
後期展示24幅は、8月初めに本場・全生庵で観たばかり、印象が新しいうちでの再鑑賞。会場が変わると、受ける印象が随分変わるもの。
天井から大きな蚊帳を吊るした暗い展示室内。1点1点に下からの照明。展示の高さは低め。それから保護柵、笹の木を模した支柱に綱を張ってシデ(紙垂)を垂らした保護柵(前期訪問時にあった?確か、靴が木の結界に接してしょっちゅう音を立てていたような気がする)。
このような「特別な演出」のもと、特に「怖さ」が増す3点。
2-03 谷文一《燭台と幽霊》
2-15 飯島光峨《柱によりかかる幽霊》
2-46 歌川芳延《海坊主》
第4章 〈うらみ〉が美に変わるとき
1)河鍋暁斎《幽霊図》福岡市博物館
「わずかに生気の残る青白い生首を咥え、芦原を彷徨う男の幽霊」「振り回された生首の黒髪の軌跡に白い妖気が漂う」
再見だが、やはり「怖い」作品。
暁斎の通期展示のもう1点、2番目の妻の臨終時のスケッチをもとに描いたという、正面向きの俯いた痩せこけた女性の幽霊と並んでの展示に、「怖さ」倍増。
2)吉川観方《朝露・夕霧》福岡市博物館
朝化粧をするお岩さんと、夕方に蚊遣り火を焚くお菊さん。日常の光景。なんだか舞台裏を見てしまったような感じ。再見だが、味わいのある素敵な作品である。
落合芳幾の、窓から中を覗く男の《幽霊図》(福岡市博物館)や、曽我蕭白の、狂気におそわれた《美人図》(奈良県立美術館)も再見であるが、楽しめる。
幽霊画を満喫。
本展のメイン・ビジュアル、上村松園の《焔》は、9/1からの展示。