カナレットとヴェネツィアの輝き
2024年10月12日〜12月28日
SOMPO美術館
カナレット展を会期初日に訪問する。
静岡から始まり、東京、京都、山口を巡回するカナレット展。
非常に楽しみにしていたのは、カナレット好きもあるが、なにより、2024年に首都圏で開催される海外所蔵作品による西洋古典美術展としては、唯一の展覧会であるため。昨今、ますます西洋古典美術が遠くなりつつある感。
ヴェドゥータ(景観画)の巨匠カナレット(1697-1768)は、イタリア・ヴェネツィアに生まれ、主にヴェネツィアで活動した画家。
その画家の全貌を紹介する日本初の展覧会を謳う本展が、共催者がスコットランド国立美術館で、出品作もスコットランド国立美術館など英国コレクションが中心となっているのは何故か。
主な顧客がグランド・ツアーでヴェネツィアに滞在した英国人旅行客であったこと。
1740年のオーストリア継承戦争の勃発による旅行者の激減を踏まえ、画家自身が主要な顧客のいるロンドンに2度に渡り長期滞在したこと(約4年、約1年地元に戻って、また約4年の計8年)。
これらを通じて英国にカナレットの重要なコレクションが形成されることとなったためである。
私的にカナレットの魅力に目覚めたのは、2018年の国立新美術館「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」で見た、ヴェネツィア・ヴェドゥータ2点による。
その色彩。特に「建物の多様な素材ー漆喰や大理石、煉瓦、木材の肌理や色合い」に大興奮。
また、小さく描かれる人物たち。風俗画要素が満載で楽しい。
2020年の国立西洋美術館「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」でも、カナレットのヴェドゥータ2点が出品された。ヴェネツィアとロンドン。印象が残っていないのは、他の出品作に集中したからだろうか。
さて、本展の東京会場であるが、カナレットのヴェドゥータ(景観画)は13点出品される。
ヴェネツィアが7点!!
ロンドンが4点。
ローマが2点。
見応えは充分。
ヴェネツィア景観画7点のうち5点が撮影可能。
以下、4点の画像を掲載する。
ただ、悲しくなるほど酷い画像(いつものことだろうけど)。
図録に掲載される図版もダメ。
実物を見ないと、色彩、緻密さ、サイズから来る存在感の魅力を味わうことはできない。
《サン・ヴィオ広場から見たカナル・グランデ》
1730年以降、65.0×83.8cm
スコットランド国立美術館
《カナル・グランデのレガッタ》
1730-1739年頃、149.8×218.4cm
ボウズ美術館、ダラム
✳︎ロンドン・ナショナル・ギャラリー展出品作と同じ構図だが、本展出品作が縦横30cmずつ大きい。
《昇天祭、モーロ河岸に戻るブチントーロ》
1738-1742年頃、106.5×106.5cm
レスター伯爵およびホウカム・エステート管理委員会、ノーフォーク
《昇天祭、モーロ河岸のブチントー》
1760年、58.3×101.8cm
ダリッジ美術館、ロンドン
✳︎ロンドン長期滞在後の作品。
図録を見てびっくり!
京都・山口限りの出品となる、カナレットのヴェネツィア景観画が1点!
《モーロ海岸、聖テオドルスの柱を右に西を望む》
1738年頃、110.5×185.5cm
スフォルツァ城絵画館、ミラノ
英国(一部は日本)のコレクションからなる本展で、本場イタリアからの唯一の出品者となるスフォルツァ城絵画館は、カナレット1点のほか、フランチェスコ・アルボットという初めて名を聞く画家のヴェドゥータ4点を出品してくれる。が、それらはすべて京都・山口限り。
図録の図版で見る限り、カナレット作品はかなり魅力的。アルボットの作品は東京では1点も出品されない。
で、急遽、京都への遠征が検討課題に浮上する。京都の会期は2/15〜4/13だ。
コメントありがとうございます。
確かに、スコットランド国立美術館展以来ですね。ベラスケスは素晴らしかった。
サンディエゴ美術館展も、どんな作品が来日するのか楽しみです。
オールドマスターに出会いたく行って来ました。ティエポロの2枚もあったし、満足しました。
振り返ると直近のオールドマスターって、もしかして2022年のスコットランドになるんですか?
チラシはベラスケスじゃなかったし、予約は嫌いだし、メトロポリタンのすぐ後だしで行かなかった〜大失敗でした。
この後こんなに何もないなんて 暗黒の日々でした。
来年も目玉はオルセーで、大阪にカラヴァッジョは来るけど、東京は何もなしと思いきや、サンディエゴが来ます!
ボデゴンと言えばコターンが登場、どうやらクリヴェツリも。楽しみですね!
コメントありがとうございます。
カナレットのヴェネツィア景観画、実に楽しかったです。この数・質の作品を日本で見れることはこの先期待できないと思われます。お勧めさせていただきます。