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【画像】2024年10月の「インド細密画」は「ムガル帝国の皇帝像」(東京国立博物館東洋館常設展示)

2024年10月21日 | 東博総合文化展
 2023年の府中市美術館の展覧会により、「インド細密画」に少し関心を持った私。
 
 2024年1月から、東博の東洋館の地下1階、一番奥の13展示室に常設展示される「インド細密画」鑑賞を始める。
 概ね1ヶ月単位で展示替えが行われるようであり、今回は10度目の鑑賞。
 
 今回鑑賞(2024年10月1日〜10月27日)
・テーマ:ムガル帝国の皇帝像
・展示数:9点
 
 以下、画像を掲載する。
 
 
《ジャハーンギール帝立像》
ビーカーネール派、18世紀後半
 ジャハーンギール(1569~1627年)はムガル帝国第4代君主です。
 父のアクバル帝と同様に、宗教に寛容で、ヒンドゥー文化とイスラム文化の融合にもつとめ、ムガル細密画が誕生しました。
 ターバンを頭に巻き、豪華なアクセサリーで着飾っています。
 
 
《アクバル帝胸像》
ビーカーネール派、18世紀
 ムガル帝国第3代君主アクバル(1542~1605年、在位1556~1605年)は北インドから西北インドにかけて版図を広げるなど、王朝を発展させました。
 頭には白いターバンを巻き、赤い宝石で留め、首には長いネックレスを掛けています。
 上辺にはアクバルの名が記されています。
 
 
《ラフィー・ウッダラジャート帝坐像》
後期ムガル派、19世紀初
 ラフィー・ウッダラジャート(1699~1719年、在位1719年)はムガル帝国第10代君主です。
 絵の上には英語で「ラフィー・ウッダラジャート、バハードゥル・シャーの孫」と記されています。
 当時、ムガル朝の宮廷の実権を掌握していたサイイド兄弟によって、彼もまた擁立、廃位された君主の一人です。
 
 
《ラフィー・ウッダウラ帝坐像》
後期ムガル派、19世紀初
 ラフィー・ウッダウラ(1696~1719年、在位
1719年)はムガル帝国第11代君主です。
 絵の上には英語で「ラフィー・ウッダウラ、バハードゥル・シャーの孫」と記されています。
 当時、ムガル朝の宮廷の実権を掌握していたサイイド兄弟によって、彼もまた擁立、廃位された君主の一人です。
 
 
《弓を引くアーラムギール2世》
ハイデラバード派、18世紀末
 アーラムギール2世(1699~1759年、在位1754~1759年)はムガル帝国第14代君主です。
 政治的な実権は辛相のガーズィー・ウッディーン・ハーンに握られており、のちに暗殺されてしまいます。
 ここでは力強さに満ちた壮年の姿に描かれています。
 
 
《花を持つ王子立像》
ビーカーネール派、18世紀
 ムガル帝国第5代君主シャー・ジャハーン(1592~1666年、在位1627~58年)を思わせるムスリムの王子の肖像です。
 赤いピジャマの上に薄く白いジャマをはき、腰に巻いた緑のパトカ(帯)にジャマダハル(刺突剣)をさし、剣と盾を身につけています。
 花を手にする男子の肖像もよく描かれます。
 
 
《アウラングゼーブ帝立像》
ビーカーネール派、18世紀後半
 アウラングゼーブ(1618~1707年、在位1658~1707年)はムガル帝国第6代君主です。
 皇位継承戦争を勝ち抜くと、厳格な宗教政策を進め、帝国の領土を最大にしました。
 頭には宝石で飾ったターバンを巻き、胸元には大きなネックレス、腕にはブレスレットやアームレットを着けています。
 
 
《ダーラー・シコー胸像》
ビーカーネール派、18世紀
 ダーラー・シコー(1615~1659年)は、ムガル帝国第5代君主シャー・ジャハーン(1592~
1666年、在位1627~1666年)の長男です。
 高い教養を持ち、イスラム教以外の宗教にも寛容でした。
 ジュエリーで飾ったターバンや豪華なネックレスがとてもすてきです。
 
 
《ズィーナト・マハル像》
カンパニー派、19世紀
 ズイーナト・マハル(1823~1886年)は、ムガル王朝第17代、最後の君主バハードウル・シャー2世(1775~1862年、在位1837~1858年)の妻です。
 額飾(ティカ)、三日月形の耳飾、真珠と金の首飾など豊かな宝飾と豪華な衣装を身につけています。
 
 
 今回は、大半が男子像。ムガル帝国の皇帝およびその家族像ということもあり、解説のほうに興味が向く。
 第3代、第4代、第6代、第10代、第11代、第14代の皇帝像と、第5代の息子(父より先に亡くなる)および縁者(?)、第17代(最後)の妻の像。
 唯一女性像の第17代(最後)の妻の像は、現代につながる近代の描写法なのだろう。
 
 引き続き、展示替えの都度皆勤を目指すのではなく自然体で、展示が一巡するまでを目途に鑑賞するつもり。


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