磯江毅=グスタボ・イソエ マドリード・リアリズムの異才
2011年7月12日~10月2日
練馬区立美術館
磯江毅の名は今まで知りませんでしたが、マドリード・リアリズムという言葉に惹かれました。
日本人のマドリード・リアリズム。
20年近く前、日本橋高島屋にて、マドリード・リアリズムの画家たち10数名の作品を集めた展覧会を見たことがあります。
リアリズムな描法に、グロテスク、あるいはミステリアスな要素を加えた絵が並んでいて、印象深い展覧会でした。
あの世界と再会できるのかしらんと期待しての訪問。
写実画といえば、まず第1に人物画(≒若い女性(裸体であれ着衣であれ)の画)が最も多く、次に風景画、そして静物画、との印象があります。
この展覧会では、若い女性の画もありますが、数としては、静物画が圧倒的に多い。
スペイン絵画の一大ジャンル「ボデゴン」。一番有名なのは、スルバランの描いた「ボデゴン」。深い精神性を感じさせる素晴らしい作品です。その「ボデゴン」の世界から影響を受けた磯江毅の静物画群。
例えば、「サンチェス・コタンの静物(盆の上のあざみとラディッシュ)」。
印象に残ったキャプション。
画家の言葉。
「物をよく見るということは、物の成り立ちを見極め、やがてそれを解体、解剖すること」
「トゥリエ」という名前の女性モデルの想い出。
年齢でいえば熟年老年にさしかかっている。長年この道をやっている、ポーズ中は一動だにしない、プロ中のプロ。
若い女性モデルの登場時間と重なってしまうと、閑古鳥が鳴く、その状況を画家はありがたがっていたとのことですが。なお、「トゥリエ」らしい女性モデルのスケッチがキャプションの隣に展示されています。
会場の画家の年譜で、日本橋高島屋での展覧会に、磯江毅の作品も登場していたことを知りました。
帰りがけに入場券売り場脇のグッズコーナーに寄ると、なんと、20年も前の展覧会図録が売っていました。
確認すると、磯江毅の作品は2点出品されていました。