カイユボット展-都市の印象派
2013年10月10日~12月29日
ブリヂストン美術館
今秋における最重要の西洋美術の展覧会、カイユボット展。
カイユボットの作品は、まとまった数を所蔵する美術館がないらしい。
あのオルセー美ですら、所蔵数は10点に満たないようだ。
確かに、本展の出品作の所蔵元も個人蔵が極めて多い。
となると、この先拝めるのは、○○美術館展や印象派展にて1点(運が良くて+1点)どまり。
カイユボット・シャワーを浴びるとなると、本展がラスト・チャンスかもしれない。
と、期間限定展示(11/10まで)の≪ヨーロッパ橋にて≫(キンベル美)の展示期間中、再訪する。
第1章 自画像
カイユボット(1848-94)は、生涯5点の自画像を残したらしいが、本展にはなんと3点も出品されている。
No.2(個人蔵)とNo.3(オルセー美)の自画像は、共に1889年頃(40歳頃)に描かれたとのことであるが、No.3の方がずいぶん老けて見える。まあ、日により時間により角度により雰囲気が違って見えるのは、誰にでもあることではあるが。
第2章 室内、肖像画
本章では、なんといっても≪昼食≫(1876、個人蔵)。
暗い色調の画面。母、弟ルネ、執事、そしてもう一人、画面下の白い皿の視点が異なることから、画家自身が食卓についているらしい。
描かれている物自体に特に惹かれるものがあるわけではないが、画面全体から感じる雰囲気がよい。
弟ルネのナイフ・フォークを使う食事姿も好ましい。なお、弟ルネは、どうやらこの絵が描かれた年に亡くなっているらしい。
他、≪室内-窓辺の女性≫(1880、個人蔵)や≪室内-読む女性≫(1880、個人蔵)など面白い作品もあるが、今一つ、私への訴求力が足りない。
カイユボットの室内画作品は、私の好みから外れているのか。
いや、たまたま今回の出品作がそうであっただけで、≪昼食≫のような好みの作品が多数存在するものと信じている。
第3章 近代都市パリの風景
本展のメイン章。カイユボットは、近代都市風景画の名手である。
≪ヨーロッパ橋にて≫(1876-77、キンベル美)と≪建物のペンキ塗り≫(1877、個人蔵)は偏愛する作品。鉄、灰色、男たち、そして、ペンキ屋さん、脚立、店舗、道。実に素晴らしい。
≪パリの通り、雨≫(1877、マルモッタン美)は、代表作・シカゴ美術館所蔵作品の習作にあたり、モネに贈られた作品であるとのこと。
≪見下ろした大通り≫(1880、個人蔵)は、「見下ろす」という視点が面白い。他にも同様に「見下ろす」視点の作品があるらしい。
そして、代表作の一つ≪ヨーロッパ橋≫(1876、プティ・パレ、ジュネーヴ)。きっと平日の光景なのだろう。
第4章 イエール、ノルマンディ。プティ・ジュヌヴィリエ
次の3点。
≪ペリソワール≫(1877)は、2011年の国立新美術館で開催のワシントン・ナショナル・ギャラリー展以来。当時もお気に入り作品で、2度も見ることができてうれしい。
本作のお気に入りの鑑賞方法は、本作品に向き合う形で用意されている椅子に座りながらの鑑賞。私にとってちょうどよい距離・角度になるらしい。
≪シルクハットの漕手≫(1877頃、個人蔵)は、いかにも裕福そうな男性が好印象。
≪イェール河岸の釣り人たち≫(1878頃、個人蔵)は、習作なのだろうが、同種テーマの完成作もあるよう。いつか見る機会があるといいなあ。
以降の風景画は総じて軽く見る程度。風景画であれば、印象派の他のポピュラーな画家の作品のほうに惹かれる。
第5章 静物画
静物画も軽く見る程度。
≪ヨーロッパ橋にて≫(キンベル美)の展示はすでに終わってしまったが、残る1か月弱の開催期間、再々訪は必至。