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【画像メモ4】教会法令集 - 「内藤コレクション 写本 - いとも優雅なる中世の小宇宙」(国立西洋美術館)

2024年07月12日 | 展覧会(西洋美術)
内藤コレクション
写本 - いとも優雅なる中世の小宇宙
2024年6月11日〜8月25日
国立西洋美術館
 
 
8章「教会法令集・宣誓の書」より
教会法令集
 
 
No.144
《インノケンティウス4世『グレゴリウス9世教皇令集全5巻注解』零葉》
フランス南部、1300-25年頃
彩色、インク、金/獣皮紙
内藤コレクション
 
 
No.145
《グレゴリウス9世『グレゴリウス9世教皇令集(集外法規集)」(パルマのベルナルドゥスの「標準注釈」を伴う)零葉》
フランス南西部、トゥールーズ(?)およびイタリア(?)、1300-25年頃
彩色、インク/獣皮紙
内藤コレクション
 
 
 
No.146
《グレゴリウス9世『グレゴリウス9世教皇令集(集外法規集)」(パルマのベルナルドゥスの「標準注釈」を伴う)零葉》
フランス南部、トゥールーズ(?)、1300-25年頃
彩色、インク/獣皮紙
内藤コレクション
 
 
 
No.148
《教皇クレメンス5世およびヨハンネス22世『クレメンス集』(ヨハンネス・アンドレアエの注解を伴う)零葉》
フランス南西部、おそらくトウールーズ、1330-50年頃
彩色、インク、金/獣皮紙
内藤コレクション
 
 
 
 
No.149
《教皇クレメンス5世およびヨハンネス22世『クレメンス集」(ヨハンネス・アンドレアエの注解を伴う)零葉》
フランス南西部、おそらくトゥールーズ、1330-50年頃
彩色、インク、金/獣皮紙
内藤コレクション
 
 
 
 Nos.148-149はいずれも、14世紀のフランス南部で書写、彩飾された「クレメンス集」写本に由来する。上部に青と赤で書かれたローマ数字VIIのとおり、同書は教会法集成第7書としても知られる。
 中央部に法令の条文、その周囲に注解が配置され、余白には、完成後に数人の手によってなされた追記が確認できる。これらの追記には、教会法の専門家の意見が引用されている。
 こうした追記は通常、三角形や凸状に割り付けられるところ、No.148では物の外形を象るように記されており、きわめて珍しい。それらは、ローマ時代後期およびカロリング朝の写本で知られる「視覚詩(carmina figurata)」を思わせ、また当時のヘブライ語写本から着想を得た可能性もある。
 
 
 
No.147
《グラティアヌス「グラティアヌス教会法令集」(ブレーシャのバルトロマエウスの「標準注釈」を伴う)零葉》
フランス南西部、トゥールーズ(?)、1320年頃
彩色、インク、金/獣皮紙
内藤コレクション(長沼基金)
 
 
 『グラティアヌス教会法令集』の豪華な写本に由来する紙葉。この法令集は、1140年頃にボローニャで編纂され、中世以降、大学の教会法学課程における基本文献となった。その第2部では、真に迫った状況設定のもと法律事件を論じる。本紙葉もそのうちのひとつで、婚姻法にかかわる条文と注解が記された。
 挿絵には、司教が手を挙げ判決を下す姿が描かれる。司教の前にひざまずく男は、巡礼者のいでたちで、弁護人と証人と思しき人物に伴われている。彼は、長年家を離れている間に妻に再婚されてしまった原告であり、その背後で妻と新しい夫が抱擁しあっている。通常、このような挿絵には、夫の長い留守を想起させるべく背景に監獄の塔が配置される。しかし、本紙葉はそれだけでなく、建物内に幽閉された囚人を描くことでよりモニュメンタルなものにしている。


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