岡田温司著
『西洋美術とレイシズム』
ちくまプリマー新書、2020年12月刊
西洋キリスト教美術におけるレイシズム(人種主義)。
キリスト教が、聖書のエピソードをレイシズム的に読み、そして美術作品に表わしてきた歴史。
【取り上げられるエピソード】
1章 ノアの息子ハム
2章 ハガルとイシュマエル
3章 シバの女王、三人のマギ、エチオピアの宦官、聖マウリティウス、パレルモの聖ベネデット、殉教の聖人たちの処刑者、双子の聖コスマスと聖ダミアヌスにより片脚のドナーとされた亡くなったばかりのエチオピアの男
作品図版が豊富。目にする機会がないだろう珍しい作品が多数。しかも全てカラー図版(ただし小さい)。
これまでそのような観点から西洋美術のキリスト教作品を鑑賞したことはなかった。
本書に取り上げられるような作品が日本で公開されたとしても、会場内解説や図録解説では、エピソード自体の説明で精一杯で、一文あるいは一語に匂わせるのがせいぜいかも。そして、あからさまな作品でない限り、私がその一文や一語に反応することはなさそうかなあ。
印象に残る作品のなかから、3点について個別記事を挙げている。