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著作権と電子書籍

2013-05-17 11:14:53 | 著作権・知的資産

 電車などの中でタブレット端末で電子書籍を読む人を見かけるようになりました。 

これに伴い、電子書籍化に関しての著作権法の改正が行われるようです。

 書籍等の発行は著作権法で「出版権」として、著作権とは別の権利として規定されています。

 

「出版権」は著作物を原作のまま文書、図面として印刷・複製して頒布する権利のことをいいます。

著作物を機械的、化学的方法でコピー(複写)して書籍化するため、著作権の中の複写権に基づいて設定される権利です

従って、出版社は著作物のすべての著作権を取得する必要はなく「複製権」を取得すれば出版権を設定し書籍化ができます。

ただし、複製権に基づく権利である出版権は紙による印刷・複写に対しての権利ですから、電子書籍化しネットで配信することまでふくまれていないことになります。

 

従って現在出版権を持っている出版社であっても、書籍を著作者と新たな契約をしないまま電子書籍化し頒布することはできないことになります。

 

では、書籍の一般の購入者がその書籍を電子化して利用するためには出版社等の許諾や利用料の支払いが必要かというと、著作権法には著作権の自由利用の例外規定があります。

これは、著作物を個人的に又は家庭内及びそれに準ずる範囲内で私的使用する目的であれば複製することができる規定です。

 

従って書籍等を購入し自分で電子ブック化(いわゆる自炊)し利用することは許諾等を得なくともできるということです。(CD-Rなど補償金が生ずるものもある)

 

ただし、店舗等に設置されているダビング機器などで複製することは除かれますので、自炊代行が問題となっている訳です。

 

もちろん、私的使用目的に複製したものであってもそれをインターネット上にアップロードすることは著作権を侵害する行為となります。<o:p></o:p>

 


スペイン壁画問題

2012-10-04 11:14:04 | 著作権・知的資産

ペインの教会で壁画の修復をしたところ、修復された壁画が原画とは似ても似つかないものとなったという報道がありました、その後この修復後の壁画が話題となりその壁画を目的に訪れる観光客も増加しグッズも作成さるようになったようです、そこで修復をした人がその壁画に著作権を主張していると報じられていました。

スペインでの出来事ですから新聞等で報道された範囲で、日本で仮に同じような事件が生じたらどの様なことになるか、この件について私なりに考えてみることにしました。

元の壁画の著作権

財産権である著作権の存続期間は創作物の創作時に始まり、著作者の死後50年です、この壁画は100年以上前に描かれたものということですから著作権は消滅していると考えられますので原画の複写等その利用は自由にできると考えられます。

ただ、著作者人格権については著作者の死亡によって消滅しますが、著作者の死亡後も著作者の意を害さないと認められる場合を除いて著作者人格権の侵害となるような行為はしてはならないとされていますのでこの点から侵害となるかと考えますと、

上記のケースは、劣化した壁画を維持保存するための修復作業をおこなった結果として全く異なった壁画になったということですから、著作者の意に反して著作者人格権の侵害をしたということになるかかどうかということになると侵害がるとの判断は難しいのではないかと考えられます。

修復後の壁画の著作権

著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義されています。

修復作業の結果とはいえ、原画とは全く異なった壁画が出来たような状況から推測して修復後の壁画には新たな著作物として著作権が認められる可能性は高いと思われます。

「創作的に表現したもの」ということが問題になると思いますが、

あれだけ原画と異なった状態であり、修復者の創意性が認められるということになれば、著作物となるのではないでしょうか。

つまり、見方にもよりますが壁画がある壁に上から新たに異なった絵画を描いたとも考えられるのではないかと思います。

著作権が認められれば、著作者には複製権を含めた財産権である著作権が生じますので壁画(原著作物)を利用するには著作者の許諾を受けるか、著作権を譲り受ける必要があるということになります。

著作権でいう著作物は工業製品と違い、1点物が多いのが通常です。特に絵画等の美術品の様な物は原著作物が劣化する場合もあり保存には修復が必要になることも多いと思われます。

修復は原画に直接手を加えることになりますし、全面的な修復の場合に修復者の技法等によって修復後の作品イメージが変わるということになって修復者の創作性が認められるということになれば、修復の結果として新たな著作物が創作されるというような可能性もあるのかも知れません。


知的資産2

2012-08-17 09:15:33 | 著作権・知的資産

企業活動は、事業活動に必要な投資を行い収益によりその投資額を回収するという循環を繰り返すことによって企業を継続、拡大させていくことであるといえます。

投資額は主に土地、建物、製造設備等の資産として管理、活用されることにより収益を獲得する手段となるとし、そしてこれらの製造設備等のキャパシティを効率よく活用できるかどうかが企業の収益額を決定する要因となっていると考えられてきています。

しかし、企業の収益獲得に貢献するのはこれら有形的な設備等だけかというとそうではありません。

産業財産権である特許権、実用新案権、意匠権、商標権も有形的な設備等同様、その管理、活用の方法の仕方しだいでは無形の資産として企業収益の決定要因のひとつとなります。

今産業財産権に加え、数期単位で発生し各期で経費処理され、或いは、その発生態様から、財務諸表上に表示されることが殆ど無い、顧客データや販売方法のノウハウ等の営業秘密とされるもの、又は、地図、編集されたデータ等、産業財産権ではないが著作物として著作権で保護されるものについても、有形的な設備等や産業財産権である知的資産とともに知的資産として企業収益の決定要因となってきています。

営業秘密や著作権については、従来、知的財産として意識する傾向も少なく、解っていても適正な管理や充分な活用や利用がされているとは言えないケースも多いと思います。

今後、事業を円滑に進めるためには、設備等の有形的な経営資産と共に知的資産を適正に管理し、両者の合理的な組み合わせ等を考慮することが必要となってきていると思います。

その第一歩として、今まで意識していなかった知的資産を認識し、適正に管理することが必要だと思います。

今までは意識していなかった独自の販売方法や生産方法等が視点を変え管理、運用することで知的資産として活用できるようになるかもしれません。


著作物の利用

2012-08-01 10:19:59 | 著作権・知的資産

著作物を利用するには例外とされる場合を除いて著作権者の許諾を受けなければなりません。

日常で著作物を利用することの一つとして地図の利用があります。地図も地図帳として販売されているもの又は、最近ではインターネット上で簡単に目的にあった地図を利用できますが、地図も著作物ですから、個人的に使用することや家族旅行のためにコピーしたり印刷したりして使用することは許諾がなくてもできますが、事業活動に利用する場合やパンフレット等に無断で複写することは著作権の侵害となります又、個人的に使用する場合でもホームページアップロードすることや、チラシなどにコピーし多くの人に配布することは著作権の侵害となります。

小説等も新刊を書店で購入し、読み終わった後古書店に販売することは著作権が及ばないとされていますが、小説等をコピーして販売したり配布したりすることは正当に入手したものであっても著作権の侵害となります。又、小説等をスキャンしWEBにアップロードし他からいつでもアクセス可能な状態にすることも著作権侵害となります。個人的に使用するだけのためにパソコンにスキャンし保存することはできますがあくまでも自分だけが読むためであり、かつ、自分自身で行うことが必要です。

大丈夫と思い又知らないで著作物を利用していたら、著作権を侵害していますよという警告を受ける、こんなことが起こる社会になってきたのかもしれません。


知的財産権

2012-07-22 11:45:42 | 著作権・知的資産

知的財産権といわれるものには、

産業財産権(工業所有権)である特許権、実用新案権、意匠権、商標権。

著作物を保護する著作権

種苗に関する育成者権(品種登録)

不正競争防止法による営業秘密を保護される権利

があります。

各権利の発生については

産業財産権である特許権、実用新案権、意匠権、商標権は特許庁に、又、品種登録による育成者権については農林水産省に、出願のうえ審査等をうけ設定登録されることで権利が発生します。

これに対し著作権と営業秘密については、

著作権は登録などの手続きをすることなく原則として著作物の創作時に著作権が発生します、又、営業秘密は、営業秘密として管理し、事業活動上有用な情報で公然と知られていないものであれば不正競争防止法で保護されることになります。

知的財産権は財産権ですから、所有権と同様に譲渡もできます、或いは相続の対象にもなります、又、契約によりその利用を許諾したり対価を得て利用させたりすることもできます。

産業財産権と育成者権は登録により権利が発生するため、権利として管理されている場合が多いのですが、著作権、営業秘密については登録手続きが不必要なため財産権として意識し管理されているケースはまだ少ないのではないかと思われます。

その結果、営業秘密として保護されるべき事業上のノウハウなどが営業秘密としての管理が不十分であり保護されなくなることにより、損失(得られるべき利益が獲得できなくなる場合も含み)を蒙ることになっていることもあります。

著作物や営業秘密についてもその財産権としての価値を認識することが今後必要となってくるのではないでしょうか。