遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

キャッシュフロー

2011-12-14 10:38:53 | 会計

財務書類の一つで世界標準の会計制度導入を機によく耳にするようになったもので、簡単にいえば現金(キャッシュ)等のフローを表示するものです、それまでは、財務書類の中心はストックを表示する貸借対照表(バランスシート)と利益の発生過程(フロー)計算のための損益計算書が中心でしたが新会計制度導入により重要視されるようになりました。

キャッシュフローという語句はともかくとして、資金の流れを表示する会計は新会計制度の導入で始まった訳ではなく、少なくとも私の記憶では40年以上前にはすでに存在していたものです。その頃は資金運用表などと言われ、今のキャッシュフロー計算書(間接法)と形は違っていましたが資金の流れを表示するものであることは同じでした。

簿記・会計を始めた当初や事業をされていると大抵一度は「利益はあるがお金がない」のはどうしてかと聞かれるがあります。

そんなときは次の様に答えることにしています。

1、資本金100万円(現金)で事業を開始

2、1年間の売上300万円(未収)、経費50万円

○ 期末貸借対照表

 現 金     50万円     

 売掛金(未収)300万円    資本金 100万円

                利 益 250万円

     損益計算書

売上高         300万円

経 費          50万円

当期利益        250万円

利益は250万円計上されていますので、今期は黒字ということになります。いわゆる儲かっている訳です。ですから当然税負担も考えなければなりません。しかし、現金は50万円しかありません。

これをキャッシュフロー計算書(間接法)で表示すると

営業活動によるC.F

 当期利益          250万円

 売上債権増加      △ 300万円

 現預金残高の増減     △   50万円

 期首現預金残高        100万円

 期末現預金残高         50万円

売上分の現金を回収していないので、経費支払い分だけ現預金は減少することになります。

全ての取引が事業年度内に現預金で決済され、固定資産等の取得も無いなどの条件が満たされなければ利益と現預金とが同じになることはありません。

このケースで経費の支払いが現預金手持ち額を超える場合は黒字倒産になる可能性も有ります。

次にこの例で翌事業年度:売上0円、経費30万円・納税30万円、未収金300万円を全額回収したとしたら、

損益:税引前当期利益    △ 30万円と赤字になりますが、

(キャッシュフロー計算書)では

営業活動によるC.F

 当期利益        △  30万円

 法人税等支払      △   30万円

 売上債権減少        300万円

 現預金残高の増減       240万円

 期首現預金残高         50万円

 期末現預金残高        290万円

損益計算では赤字ですが、資金的には十分余裕がある事になります。

極端な例ですが単年度の業績を示す損益計算書の状態が悪くても現預金の残高が増加していれば、その事業の財務安全性は高いと言うことになります。もちろん、資金の流入の原資となる損益状況を良くしておく必要があることは言うまでもありません。


遺留分」

2011-12-05 14:19:06 | 遺言・相続

法定相続割合や遺産分割協議で相続人の全てが合意し遺産の分割が行われれば何の問題もありませんが、遺言によって相続人の1人若しくは特定の相続人又は相続人以外の第三者に遺産の全部又は大半の部分が遺贈された場合、残された相続人の生活保障という観点から遺産の中から一定割合を確保できる遺留分の制度があります。

遺留分権利者

遺留分の権利を有するのは以下の相続人です。

配偶者、直系卑属(子供・孫)及び直系尊属(親・祖父母)

従って被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺留分の割合

① 総体的遺留分

遺留分権利者の数に関係なく遺産について認められる遺留分

イ、相続人が直系尊属のみの場合……相続財産の3分の1

ロ、相続人が上記以外の場合  ……相続財産の2分の1

       各相続人の遺留分額

総体的遺留分×各遺留分権利者の法定相続割合

計算例

相続人が配偶者、子供2人で遺産総額3,600万円の場合

総体的遺留分は、ロに該当しますので

3,600万円×1/21,800万円

各相続人の遺留分額

配偶者 1,800万円×1/2=900万円

子供  1,800万円×1/4=450万円

となります。

このケースでは

被相続人が遺言で3,600万円を相続人以外に遺贈等していた場合、配偶者については900万円、子供は各450万円までは遺留分を請求する権利があるということです。

具体的には遺留分減殺請求権を行使し、遺留分に達するまで遺贈等の効力を取り消し取り戻すことになります。

遺留分減殺請求権は受遺者に減殺請求の意思表示をすれば行使できますが、内容証明郵便等で請求したことを証明できるようにしておいた方がいいでしょう。

ただし、遺留分減殺請求権は遺留分権利者が相続の開始及び遺贈等を知ったときから1年、相続の開始から10年で時効により消滅します。