遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

行政書士

2011-04-27 14:21:31 | ブログ

行政書士という語句は専門学校などの資格講座の案内などで見たり聞いたりしてよく知っているが、ではどの様な仕事をしているのかというと多数の方がよく知らないということが結構あります。私も色々な方々とお会したとき名刺を出すと「アア、行政書士さん」と言われるがその後は「それで、何をされているのですか?」というのが大方の反応です。また、時には「登記関係のお仕事ですか?」私が「それは司法書士ですが」というと「では、行政書士は何を?」

となります。確かに“~書士”呼称も似ています。新聞や雑誌などの記事や社説でも明確に区分されていないものをよくみかけます。

デワ、行政書士とは?行政書士法では

行政書士法第1条の2から

“行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(電磁記録を含む)その他権利義務又は事実証明書類に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)を作成することを業とする。”

“上記の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない”

となっています。

税理士法、社会保険労務士法、司法書士法などで定められている書類を除いた書類の作成などがその業務となります。

具体的には

・建設業許可申請、外国人の在留関係申請、農地法関係、開発許可関係などの許可申請業務

     遺言書、遺産分割協議書作成、契約書作成、交通事故の自賠責保険関係、会計記帳、株式会社等設立関係などの権利義務事実証明等の業務

であり、行政署官庁への申請、届出などと民事関係の書類の作成が主な業務となります。

大変広い範囲が業務となっていますので、これが行政書士は何をするのかという疑問にもなっているのだと思います。  “名前は知っているが……”

そこで、私は「何を?」の問に「どういう事をされたいのですか?」という答え方をすることが多くなります。つまり入り口の士業です、逆にこれが行政書士の特徴かもしれません。

ある問題をどうしたらよいか又は何処へ聞いたらよいかわからない場合は、まずは一度お近くの行政書士に相談されることから始められることが問題解決への早道となるのではないでしょうか。

もちろん、行政書士でない者が第1条の2の業務を業として行うことは行政書士法違反となります。

同法19条には

“行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第1条の2に規定する業務を行うことはできない”

となっています。


労災法、年金法改正

2011-04-23 14:54:00 | その他各法

失踪宣告、同時死亡の推定

震災から1か月余りが経過しました、被災地の状況はTV、新聞などのマスコミを通じて私たちが知り得て想像をした状況をはるかに越えたものとなっているのではないかと思います。

先日新聞で、労災法、年金関係法が規定している船舶や航空機による事故で生死が3ヶ月間不明の場合、その事故の日に死亡したとものと推定する、という規定を災害によるものを含む旨の改正された記事が載っていました。

今までは、災害による生死不明は民法の規定(30条第2項特別失踪)により災害のときから1年間明らかでないとき利害関係人の請求により家庭裁判所が失踪の宣告をし、宣告がされると災害等の危難が去ったときに死亡したものとみなされるとなっており、災害の場合は1年間経過しなければ労災法、年金関係法の適用はないことになるのでこれに対応する為の改正ということになります。

相続関係については、災害による生死不明によるときは同様に民法(30条第2項特別失踪)が適用され1年経過後に死亡の宣告によることとなると思われますが、これと同時に民法の同時死亡の推定(民法32条の2)適用の問題が発生する可能性があるのではないかと思います。

民法では、“数人の者が死亡した場合において、そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないとき、これらの者は同時に死亡したものと推定する。”

となっています、事故や災害で複数の人が死亡した場合、救出後死亡した等の反証が明確でない場合は同時に死亡したものと推定されるということです。

同時に死亡したことが推定されると、相続人が相続の開始以前に死亡したこととなり、その相続人は相続権がないこととなります(民法887条第2項)

航空機事故や自動車事故で考えられるケースが多いのですが、これが適用された場合とそうでない場合では相続関係に影響がでてきます。

例:父(甲)と子(A)、子(B)のケースで(甲)と(A)が危難に遭遇した場合で父甲の財産について

同時死亡と推定された場合:

     (A)は(甲)の財産を相続せず(B)のみが相続人となる。(ただし、(A)に

 子があればその子が(A)の相続分を代襲相続することができます。)

     A)の相続は(甲)の相続と関係なく開始される。

同時死亡と推定されない場合:

     A)・(B)共に(甲)の相続人となる。

(甲)の相続終了後、(甲)からの相続分を含む(A)についての相続開始となる。


相続放棄

2011-04-05 14:22:07 | 遺言・相続

相続の相談で「私は相続を放棄する」という話を聞き、よくよく話を聞くと遺産分割において財産を相続しないというケースがあります。本来の相続放棄も具体的に財産を相続しないのも相続財産を継承しない点で結果からみれば同じ様なことに思われるが両者には大きな違いがあります。

民法の相続放棄は相続人が相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続の放棄を申し出ることが必要です。

3ヶ月以内にこの申し出をしなかった場合は相続を承認したことになります。

相続放棄をすると原則としてこれを撤回できませんし、相続放棄をした相続人はその相続に関しはじめから相続人でなかったことになりますので遺産分割協議への参加も必要なくなります。

つまり、相続放棄は相続人が相続人でなくなることですから、相続人としての権利及び義務をすべて放棄することになります。従って、債務等があった場合でもこれも継承することはありませんが、思わぬ財産が見つかった場合でも相続することはできなくなりますし遺留分請求の権利もなくなります。

しかし、冒頭の意味での「相続の放棄」は相続財産をもらわないということだけであり、相続人としての身分はそのままということですので、遺産分割協議に参加し遺産分割に同意しなければその遺産分割も成立しないことになりますし債務があった場合には法定相続分に対応する債務を負担しなければならない場合も生じることになります。

相続が開始するといろいろしなければならない手続があり、3ヶ月はすぐに経ってしまいますが相続財産の確定と相続人の確定はできるだけ早くされるのがいいと思います。


4月の行事

2011-04-04 13:23:10 | ブログ

4月は年度変わりとなるところが多いと思います。特に事務・管理部門は新入社員の受け入れ、決算、人事異動、事業計画の公表・実施、株主総会、有給休暇の付与計算、昇給などいろいろな行事が多くなりますし、また前期の締め切りと当期の開始業務を同時進行しなければなりません。私も長い間企業の管理部門の責任者をしておりましたのでこの時期は前期と当期の間で業務を行うということが通常でしたがこの中で一番大変だったのは人事でした。

人事異動等の計画はすでにできているのですが実際異動を行ってみると不都合が発生したり、社員の個人的事情の変化があったりで計画の変更を余儀なくされたりします。人事異動はパズルの様なもので、特定の1人を変更することは全体の計画の修正・変更もしなければならないことにもなりかねません。

人事異動は単なる人の異動ではなく、経営戦略に基づきなされるものでなければなりませんし、構成員の特性等を見極めたうえで異動によるプラス・マイナスも計算しなければなりません。人事の失敗によりその組織が機能しなくなることもあります。

何か問題が発生すると、○○本部、○○部を発足して対応するという話をしますが、それが本当に必要か、また構成員となる適切な人材は揃っているか、他の部門との重複や摩擦はなど検討していくと意外に既存の組織に最小の異動で解決することも多くあります。

「仏造って魂いれず」、組織や人事異動をしただけで問題が解決したり、目的が達成されたりするようなことは殆どありません。組織変更や人事異動はその後どのようにそれを運営していくかが重要なことなのです。

ついでですが、

建設業許可を受けている場合、役員変更、営業所の新設・廃止、又は技術者や経営管理者の異動などにより変更届の提出が必要となりますので注意してください。また、決算期終了より4ヶ月以内に事業年度終了届を提出しなければなりません。

その他、産業廃棄物収集運搬業(積替え保管なし)の許可が今まで積卸しを行う政令都市毎に許可を受ける必要がありましたが、23年4月1日より同一県内で行う場合原則として県知事許可に一元化されました。現在の許可については経過措置がありますので確認が必要です。