何処に行っちゃたの？

携帯が鳴った。

「先生・・すみません～○○がいなくなったので、今日のレッスンは
お休みさせてください」

「へっ？○○ちゃん～何処へ行ったんだろう・・みんなで探しているんですか？」

「はい、そうなんです。では～探しに行きますので」

何処へ行っちゃたんだろう～
どこか遠くへ行っていなければ・・・
もしや、誘拐？
いやいや～あの子は人にはついていかないから、でも心配。

何だかんだ想像していると、ノックをする音が・・・

誰かな～次の子にしては早いな～
「はーい、どうぞ～」
一向にドアが開く気配がしません。
「どうぞ～」
おかしいなぁ、誰だろうと思ってドアの覗き窓から見ると・・・

げげげげ～○○ちゃん～だわ～
靴はいていないよ～
ズボンもはいていないよ～
大変だ～
早速、ママに連絡・・・
「１人で歩いてきたの？」っと言っても○○ちゃんには分かりません。

ともかく無事で良かった。
まもなく、ご両親が車で駆けつけてきてくれました。

○○ちゃんは、知的障碍を持つ５歳児です。
しかし、よく、教室が分かったよね～とご両親と顔を見合わせました。

でも、考えてみると、お母さんが車で送ってこない日は
おばあちゃんと歩いて来ていましたので、
多分～うっすらと覚えていたのかも分かりません。

一段落ついた○○ちゃんは、譜面台にしがみついて歌を歌っています。
このスタイルが一番好きなのです。
「はとぽっぽ」が大好きで・・
はと笛を吹くのがまたまた得意。

でもね～１人で来ちゃあだめよ。
○○ちゃんのお家は、教室まで車で１０分の所です。

無邪気な笑顔の○○ちゃん、分かっているのかな～。