軽井沢ル・ボン・ヴィボン

トリュフの香り

こんにちは、シェフの梅田です。

年末年始の混雑も一段落して、少し落ち着いた時間がやってきました。
これから、今年一年の計画のような事も随時考えていきたいと思います。

写真はピエモンテ産の黒トリュフです。
普段は南仏産を使っていますが、今シーズンは終了しましたので
代わって、ピエモンテ産が登場しています。

今は、空輸で品質の良い物が日本にも届けられるようになりました。
究極の香り食材と言われているトリュフですが
このトリュフの香りをしっかりと料理に生かすのは中々難しいんです。

トリュフの香りというのは
非常に繊細で、限定的な状況下でその真価を発揮します。
松茸のように簡単ではありません。

トリュフはきのこの一種ですから、もちろん生きています。
生きていれば、呼吸というか代謝というか、そういうものがあって
その代謝の産物があの素晴らしい芳香をもたらします。

よく、トリュフは鮮度が命と言われています
確かに鮮度は大切なのですが
案外、トリュフそのものを手に取って匂いを嗅いでも、それほど素晴らしい香りは感じないものです。

トリュフの香りを楽しむには
密閉した環境(容器)に閉じ込めて、しばらく代謝を促し
代謝の産物である、容器内の香りを嗅ぐことが一番です。
その高貴なる芳香たるや、まさに官能的。
「こ、これがトリュフか!!」ってなります。
この香りを楽しめるのは管理している者の特権とも言えます。

本場、イタリアのピエモンテ州、アルバや
南仏のペリゴールなどで、特級のトリュフがガラスのドームに入れられて売られているのは
ドームの内側に立ちこめる高貴な香りを確かめてもらうためのもの。
(もちろんディスプレイとしての美しさも考慮されていますが)
さすが、本場はよく分かっています。

次善の策としては、使う直前に薄くスライスし、優しく温度を与えて
立ち上がってくる香りをなるべく逃さず、急いでサーブする事になります。
突き詰めると、良く見かける「テーブルでトリュフすりすり」というやり方になって、
あれは演出もさることながら
厨房でトリュフを乗せてから運ぶのでは遅い、という理由も多分に含んでいます。

次の写真は最近のうちのスペシャリテ



「帆立貝、トピナンブール(菊芋)ヨーロッパのきのこ」
年末のクリスマスディナーでは前菜にアレンジしてご提供しましたが
通常はメインディッシュの一皿です。

テーブルですりすりはしてませんが
トリュフの香りを最大限に楽しんでいただくために、
直前でスライスする事と、程良い温度で提供する事を大切にしています。
是非、官能的なトリュフの香りをお楽しみください。


話は変わりますが、2019年の営業計画も少しずつ策定していきたいと思っています。

昨年後半、ランチの営業を縮小して
ディナーに特化した形に移行しました。

やはり、うちはディナーのお店である事は間違いなく
今後もこの基調は続くものと思われます。

もうすでに、僕のお店の役割というのがあって
それをしっかりと受け止める事が最優先で、そこに迷いはありません。
ランチはお店の「役割としての必然性を感じた時」にやります。

10年来、悩みに悩んで下した決断なので
やはり逆行はしないんだなと感じていますし、
それによって、またやりたい事がどんどん増えてきたような気がします。
細かい事は、暇を見つけてブログではなくnoteに書こうかな。

2019年も未来を見据えて、ワクワクしています


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