マイナス金利の状況下で退職給付債務に用いる割引率の設定をどうするかを解説した記事。年金数理の専門家が書いています。
この中でいっている「利回りがマイナスの場合は割引率をゼロとする」という方法が認められるのかどうかは、よくわかりません。
ちなみに、この記事でも一部引用されていますが、退職給付適用指針では割引率について以下のように規定しています。
「24. 退職給付債務等の計算(第 14 項から第 16 項参照)における割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定する(会計基準第 20 項)が、この安全性の高い債券の利回りには、期末における国債、政府機関債及び優良社債の利回りが含まれる(会計基準(注 6))。優良社債には、例えば、複数の格付機関による直近の格付けがダブル A 格相当以上を得ている社債等が含まれる。
割引率は、退職給付支払ごとの支払見込期間を反映するものでなければならない。当該割引率としては、例えば、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用する方法や、退職給付の支払見込期間ごとに設定された複数の割引率を使用する方法が含まれる。」
金利低下時の退職給付債務の金利リスク(大和総研)
「退職給付債務の変動が10%以上となるような金利変動となったときには見直すことになり、大きな影響が顕在化するため、金利リスクを把握しておく必要はあるだろう。」
「日本基準を適用している企業でも、リスク管理の視点から退職給付債務が晒されているリスクとそのリスクが変動したときの感応度を把握しておくことが望ましい。特に金利リスクの把握は、昨今の長期金利の低下という状況の中、改めて有効であると感じた。退職給付債務計算結果を待たずに、金利低下の影響を事前に把握し、すぐに対応方法の検討にあたれるように体制を整えておきたい。」
関連する適用指針の規定は...
「30. 割引率は期末における安全性の高い債券の利回りを基礎として決定されるが(会計基準第 20 項)、各事業年度において割引率を再検討し、その結果、少なくとも、割引率の変動が退職給付債務に重要な影響を及ぼすと判断した場合にはこれを見直し、退職給付債務を再計算する必要がある。
重要な影響の有無の判断にあたっては、前期末に用いた割引率により算定した場合の退職給付債務と比較して、期末の割引率により計算した退職給付債務が 10%以上変動すると推定されるときには、重要な影響を及ぼすものとして期末の割引率を用いて退職給付債務を再計算しなければならない(第 72 項参照)。 」
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