EY新日本監査法人「片倉理事長続投」の異様(記事冒頭のみ)
全部は読めていませんが、新日本監査法人の理事長人事を取り上げた(ややあやしいメディア(?)の)記事です。
現理事長が、選挙もせずに続投とのことです。
「国内4大監査法人の一角、EY新日本有限責任監査法人(EY新日本)は理事長選挙を2月に予定していたが、選挙が形骸化するどころか、選挙を中止する事態に発展している。」
読める部分では、背景を説明しています。
東芝巨額粉飾事件後、執行部が刷新され、辻幸一氏(記事によれば非主流派)が理事長に選ばれましたが...
「新たに理事長に就任したのは、いわゆる非主流派の辻幸一だった。 「有力候補が軒並み退任して、〝無傷〟の辻が選ばれたのです。そのため辻の就任は緊急避難的と見られました。しかし、辻は幹部を一新し、新日本は大きく変容しました」(EY新日本関係者)
1つは、東芝事件を教訓に「コンプライアンス」と「品質管理」を厳格化したが、現在の片倉正美理事長体制では、それによりさらに組織が硬直化したという。 「厳格化して監査工程がいたずらに増え、監査報酬が高くなっただけではなく、杓子定規に対応して顧客企業の不満が高まり、大企業では、20年に味の素、21年に日本通運を失いました。また中小企業に対しては、高額化した監査報酬を払えるところしか相手にしないという姿勢です」(同)」
東芝事件は別として、これは新日本だけの問題ではないような気もしますが...。
監査法人の合併、分割の歴史をたどると何かヒントがあるかもしれません。
Big4監査法人の歴史-EY新日本有限監査法人-(Manegy)
ZAITEN記事とは関係ありませんが、検索すると、こういうのが出てきました。
やばいほど激務?EY新日本監査法人を辞めたい退職理由調査(転職note)
(補足)
記事を読むことができました。全2ページですから、それなりの長さのものです。ただ、情報源は匿名の関係者だけですから、話半分に読んだ方がよいかもしれません。
・グレイステクノロジーの粉飾を見逃すなど、厳格化は機能していない。
・英国アーンスト・アンド・ヤング(EY)の影響力が増した。辻氏は、EYの資金支援を受け、幹部の報酬を1~2億円に一気に引き上げ、常務理事以上には隠れボーナスを支給した。
・辻執行部は、金融庁の指導をでっち上げ、当時の幹部の後任理事長への立候補を排除した疑いがある。
・片倉氏就任後、EYの影響力はさらに増して、EYジャパンには、EYニューヨーク事務所出身の貴田氏がCEOとして送り込まれ、監査法人の経営も縛っている。
・片倉氏就任後、利益は出ているが、旅費交通費20億円減(就任3年目)の影響にすぎない。片倉氏の報酬は1億8千万円。
・次の理事長選挙の立候補は片倉氏だけという話が流れる中、年明けには、評議会で片倉氏の任期2年延長が決まった。
・ガバナンスが壊れた新日本である。法人に問い合わせを行ったがノーコメントだった。
といった内容です。正確には雑誌記事原文をご覧ください。
「英国アーンスト・アンド・ヤング(EY)」と書いてあり、英国に親会社があるように読めますが、そうではありません。EYのウェブサイトでは「EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。」と説明されています。英国にグローバルネットワークを束ねる法人はありますが、籍が英国にあるだけで、そこが各国の事務所を支配しているわけではありません。ただ、グローバルのガバナンスがどうなっているのか(幹部はどうやって選ばれているのか、上納金はどのように集められ、何に使われているのかなど)は、外部者にとっては全くのブラックボックスです。そういうところから、得体の知れない外国勢力に日本の大手監査法人が操られているという(陰謀論的?)見方も出てくるのでしょう。
理事長らの報酬については、補助金をもらっている団体でもないので、法人内で勝手に決めればよい話でしょう。5千人超の社員・職員がいて、年間1千億円超の売上がある法人なので、そのトップや上級幹部の報酬が1億円超であっても、法外に高いという感じはしません。
ちなみに、昨年12月に公表された監査法人のガバナンス・コード(案)でも、グルーバルネットワークとの関係を説明させる規定が盛り込まれています。有識者検討会では、その点を疑問視する意見もあったようです。