近畿車両が、遅れていた2017年3月期連結決算の監査報告書(無限定適正)を受け取ったという記事。会社法監査の方の話です。有報は月末提出とのことです。
「同社は米国の車体製造子会社が抱える部品などの棚卸し資産の会計監査に時間がかかり、6月29日に開いた定時株主総会の招集通知に監査報告書を添付できないでいた。提出が遅れている前期の有価証券報告書は期限の7月末までに関東財務局に提出できる見込みという。」
決算短信も訂正しています。米子会社の棚卸資産過大計上が修正されていますが、最終赤字(146億円)と比べると、影響額がごく小さいもの(約1億円)でした。
東芝と違って、会計監査も含めて会計上の問題は解決したようですが、決算の中身自体は、大赤字で純資産がほぼ半減するなど大変なことになっているようです。
同社プレスリリース。
会社法に基づく連結計算書類に係る会計監査人の監査報告書受領及び監査役会の監査報告変更並びに事業報告等の記載事項一部訂正のお知らせ(7月24日)(PDFファイル)
平成29年3月期有価証券報告書の提出完了に関するお知らせ(7月27日)(PDFファイル)
財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備について(7月27日)(PDFファイル)
「当社の米国連結子会社である KINKISHARYO International,L.L.C.(以下、「KILLC」)において、会計監査人の期末財務諸表監査の過程で、ロサンゼルス郡都市交通局向け LRV 案件(以下、「LA案件」)の材料の仕入計上誤りによる棚卸資産の過大計上が判明しました。LA 案件は、平成 28 年度から着手しましたオプション契約分について、当局との契約上、車体の製造から現地で行うことになり、部品点数が大幅に増加した上に、仕入計上誤りが判明した事により、会計監査人の追加的な監査手続きとして、全面的な実地棚卸を実施した上での棚卸明細残高と会計帳簿上の棚卸資産残高との整合性の確認が必要となりました。当該確認作業とその監査に多くの時間を要したため、有価証券報告書の提出の遅延につながりました。
これら一連の確認作業の結果、KILLC の財務報告に係る以下の内部統制に、開示すべき重要な不備があると判断いたしました。
(1)決算・財務報告プロセス
決算整理仕訳の適切性を担保する内部統制の運用上の不備
(2)材料仕入に係る業務プロセス
材料の仕入計上の適切性を担保する内部統制の運用上の不備
(3)棚卸資産に係る業務プロセス
① LA 案件における会計帳簿上の棚卸資産残高と実地棚卸等に基づく実際の棚卸明細残高の整合性を担保する内部統制の整備・運用上の不備
② ニュージャージー案件(以下、「NJ 案件」)における棚卸資産を明確に区分管理する内部統制の整備・運用上の不備」
これも、何もやらなければ、意見不表明か限定付き意見の可能性があったと思われますが、棚卸のやり直しという追加手続きを行うことにより、無限定まで持って行けた事例ということになるのでしょう。
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