保育士水増し、売上に2200万円影響…保育大手グローバルキッズの「悪質すぎる不正実態」
保育大手の「グローバルキッズ」が、保育士の数を水増しして運営費を不正受給していた事件を取り上げた記事。
前半は、この不正事件の解説、後半は、地方自治体から支払われる運営費が保育士の人件費に回っていない問題の解説です。
どのような不正か...
「東京都が「特別指導検査」に入り、不正が明るみに出た。本社で働く保育士資格のある社員19人について本部関与の下、保育園での勤務実態がないにもかかわらず保育園に在籍しているかのように、名簿、出勤簿等を偽造し、少なくとも2015年4月から2019年12月までの間、認可保育園11ヵ所、都独自の認証保育園5ヵ所で行政に虚偽の報告をしていた。」
「2006年創業のグローバルキッズは都内を中心に184ヵ所の保育施設を運営し、うち認可保育園は135ヵ所(2021年9月期末)。不正があった園は都内で合計16ヵ所あったため、同社が運営する保育園の約1割に当たるのだ。在籍園児数は合計で9360人と多く、波紋を広げている。」
「東京都の指導監査部は、「今回の不正は、”たまたま”とか”いち担当者が間違った”というものではなく、本社主導で行われたもの。本社の構造から改善してもらうよう指導した」としている。検査資料には、「設置者(グローバルキッズのこと)が職責を果たしておらず、運営管理上問題が生じているので、是正すること」「設置者は、保育所の役割や社会的責任を十分に認識し、法令等を遵守した適正な運営管理業務を行うよう是正すること」と記されている。
グローバルキッズの不正受給額について、東京新聞が7月21日に報じた独自調査では「少なくとも5区で1600万円に上る」と第一報を打ち、続いてNHKは「豊島区だけで730万円」、日テレは「都内8区で1000万円以上」と報じた。7月29日、グローバルキッズCOMPANYが委託費等の返還について、8行政のうち6行政で金額が確定。返還による売上高への影響が2200万円になるとホームページで公表した。」
不正とは直接関係はありませんが、同社では、公費から出ている委託費が人件費に回っていないようです。
「そもそも認可保育園には、税金と保護者が支払う保育料が原資となる運営費の「委託費」が市区町村を通じて支払われる。国はあらかじめ保育に必要な人件費や保育材料費などを見積もって支払うため、内閣府は「本来、委託費は使い切る性質のもの」と説明している。基本的な人件費分だけで8割が想定されている。ある保育業界団体の役員は、「処遇改善費などがつくと人件費分は9割から9割5分を占める」と主張する。
グローバルキッズは取材に応じないため、前述した東京都が公開するグローバルキッズの都内の認可保育園88ヵ所の人件費比率を集計すると、平均で53.2%でしかなかった。賃金の実額も常勤保育従事者で約359万円では、人件費比率と共に決して高いとは言えない状況だ。」
当社連結子会社による委託費等の返還に関するお知らせ(グローバルキッズ COMPANY)(PDFファイル)
返還する22百万円について、業績予想の修正を行っています。財務的な影響は、それほど大きくはありませんが、会社ぐるみで自治体をだましていたのですから、悪質です。