ウイルコホールディングスが、雇用調整助成金を不正に受給した問題を受け、東京証券取引所から「特別注意銘柄」の指定を受けたという記事。違約金1440万円の支払いも求められたそうです。
「ウイルコHDは、2020年4月~23年1月に受給した雇調金6億7千万円を不正受給し、石川労働局に違約金と延滞金を含め全額を返還した。今年9月、専門家でつくる再発防止委員会を組織。同HDの担当者は北國新聞社の取材に「改善計画を策定し、信頼回復に努める」と話した。」
特別注意銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求について(東証)(PDFファイル)
「1. 銘 柄 株式会社ウイルコホールディングス(コード:7831、市場区分:スタンダード市場)
2. 特 別 注 意 銘 柄指 定 日 2024年10月26日(土)」
理由の詳細より。
「株式会社ウイルコホールディングス(以下「同社」という。)は、2024年7月10日に同社における不適切な会計処理に関する第三者委員会の調査報告書を開示し、同年9月6日に過年度の決算内容の訂正を開示しました。
これらにより、同社及び同社子会社である株式会社ウイル・コーポレーションでは、創業者である取締役の関与によって、長期間にわたり新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例による雇用調整助成金を不正に受給し、人件費を過少に計上するとともに、多額の減損損失を未計上とするなどの不適切な会計処理を行っていたことが明らかになりました。その結果、同社は、2020年10月期第2四半期から2024年10月期第2四半期までの決算短信等において、上場規則に違反して虚偽と認められる開示を行い、それに伴う決算内容の訂正により、2020年10月期の親会社株主に帰属する当期純損失が20億円以上拡大することや2023年 10月期の各段階利益の黒字を赤字とするなど、決算内容を大幅に偽っていたことなどが判明しました。
こうした開示が行われた背景として、本件では主に以下の点が認められました。
・ 創業者である取締役が、実質的な経営トップとして、不正行為となる休業申請中の勤務(テレワーク)を積極的に行うことを指示するなど、コンプライアンス意識が著しく欠如していたこと
・ 創業者である取締役をオーナーと呼称し、その指示・命令を絶対視する企業風土のもと、創業者である取締役の指示により、複数の部署において、勤務実態と異なる休業申請が繰り返し行われていたなど、全社的な不正が行われていたこと
・ 代表取締役社長や常勤監査等委員を含め、複数の常勤取締役は、創業者である取締役による指示により全社的な不正が行われていることを認識できる状況にあったにもかかわらず、不正行為についての指摘を行うことや是正を求めることなく、これを放置・黙認しており、取締役相互間のけん制・監視機能が機能不全に陥っていたこと
以上のとおり、本件は、雇用調整助成金の不正受給が長期間放置された結果、投資者の投資判断に深刻な影響を与える虚偽と認められる開示が行われたものであり、同社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特別注意銘柄に指定することとします。
また、本件は、上記背景のもと投資判断情報として重要性の高い決算情報について長期間にわたり誤った情報を公表し続けたものであり、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることとします。」