会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

コメの販売優先、会計後回し 56億円赤字のJA 秋田(朝日より)

コメの販売優先、会計後回し 56億円赤字のJA 秋田

JA秋田おばこの巨額損失問題で、第三者委員会が設置されるという記事。

「国による米の生産調整(減反)が昨年で終わり、農協の経営能力がより重要になる中、力を入れてきた卸会社などへの直接販売で約56億円の累積赤字を抱えた。販売拡大を優先し、適正な会計処理が後回しにされていた。」

「おばこは20日、全容解明のため、弁護士と公認会計士計4人からなる第三者委員会を設置。今後、ずさんな販売管理の原因を調べ、役員の責任を追及する方針だ。」

「巨額の累積赤字は、JA全農あきたを通さず、卸会社などに米を直接売る「直接販売」という取引で生じた。生産農家に「概算金」と呼ぶ仮払金を支払って米を預かり、その年のすべての米を売り切った後で精算する。販売代金の総額が仮払金や経費の総額を上回れば、おばこが農家に追加で支払う。逆に下回れば、農家から返してもらう。JAグループの米販売で広く採用されている仕組みだ。複数年にわたる収支をひとまとめにして精算し、JA本体の会計とは別に「共同計算会計」と呼ばれている。

2004年に始まったおばこの直接販売は年々拡大。当初は取扱量の6%だったが、ピークの12年には86%に。直接販売により産地のブランド力で高く売れれば、農家の収入を増やせるが、販売が振るわずに概算金が割高となり、農家から返金してもらうべき精算額が増えた

さらに事務量が増えたのに電算システムが導入されず、職員数人の手作業では会計処理が追いつかなくなって、収支が把握できなくなった。その結果、正しく精算されず、累積赤字が膨らんだとみられる。」

「JA秋田中央会の幹部は「JA本体の決算に関わる項目を確認する程度で、細かい収支は見ていなかった」と打ち明ける。農家への精算が遅れていたことは広く知られていたはずだが、県も、農業協同組合法に基づく検査で会計に立ち入った確認をしていなかった。JA本体の会計から切り離された共同計算会計は、監査の目も届きにくい面があった。」

事務処理がまずかったということを原因にしているようですが、適切な処理をすると、農家から仮払金精算でカネを返してもらうことになり、それがいやで先送りしていたのかもしれません。本当は、今からでも仮払金のずさんだった精算をやりなおして、回収すべきものは回収すればよい(そうすれば損失でなくなるはず)のでしょうが、それができないのでしょうか。

また、記事でもふれているように、JA本体では仕入や売上を計上せず、(たぶん)仮払金の支払い・精算を除けば、簿外(別会計)の処理になっていたというのも、管理が不十分だった背景にあるのでしょう。

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