先日紹介した週刊エコノミストの「粉飾」特集の中の記事。
「なぜ、会計士が人気職業から転落したか」を、ジャーナリストの磯山氏が書いています。
「07年に19・3%だった合格率を11年には6・5%に下げるという試験の「難関化」が主因として指摘されるが、その後、合格率を10%超に引き上げても受験者は下げ止まらなかった。リーマン・ショック後は、合格しても大手の監査法人に入所できないという就職環境の悪さも指摘されたが、今では業界は人手不足が深刻化している。
では何が原因か。人気凋落(ちょうらく)の理由のすべてではないにせよ、会計監査を巡る相次ぐ不祥事が影を落としていることは間違いないだろう。」
たしかに、試験合格者の就職環境はかなり改善されているようですが、就職難と同時期の大手監査法人のリストラの影響は今も残っているのではないでしょうか。会計士という職業に対するイメージががらりと変わったように思います(たぶん監査法人内部の雰囲気も)。
その他、気になる記述。
「かつて、大企業の監査報告書にサインする監査法人の「大先生」は、経営トップに直言できる人間関係を持っていた。長年会社の監査を担当する「先達」として経営トップが意見を聞きたがったものだ。一緒にゴルフをしたり、会食を共にするなど親密な関係が、時には「癒着」となって問題を引き起こしたが、明らかにメリットもあった。」
ちょっと過去を美化しすぎでは。「大先生」が経営トップに直言できるというのは、そういうことがあったとしても、中堅クラス以下の会社か、大企業でも中小から急成長した会社(かつてはそういう会社も多かった)に限られるように思われます(会社や会社との関係によりけり)。そもそも、バブル崩壊後に「大先生」たちが監査先の銀行や会社に直言していれば、かつての不良債権問題もあれほどひどくならなかったはずです。
週刊エコノミスト 2016年12月20日号 [雑誌] 週刊エコノミスト編集部 毎日新聞出版 2016-12-12 by G-Tools |