金融庁は、金融検査マニュアル及び監督指針の特例措置等を3月31日付で公表しました。
東北地方太平洋沖地震で、金融機関及び債務者を含め広範囲に甚大な被害が生じており、かつ、3月期決算の期末日直前に地震が発生(3月11日)したことから、金融機関の決算作業等に混乱が生じかねない極めて異例な事態となっていることを踏まえてまとめられたものです。
金融検査マニュアルでは、以下のような特例措置が設けられています(「今般の措置の概要」より)。
「本社や主な生産拠点が被災地に所在する債務者など、震災により連絡が一時的に取れないこと等から、金融機関が実態把握を行うことが一時的に困難となっている債務者を対象として、以下の措置を講じる。
・震災の影響について、金融機関は、金融機関及び債務者の被害状況並びに担保物件・保証人の状況等の実態を、合理的に判断できる範囲内で、可能な限り自己査定に反映させる。その上で、これが困難な資産は以下の方法によることも妨げないこととする。
1) 実態把握が困難な債務者への貸出金等はそれまでに把握している情報により査定し、その旨を「注記」。
2) 再評価・実査が困難な担保物件はそれまでに把握している担保評価で査定し、その旨を「注記」。 」
これで、3月末現在の財政状態を適正に表示する貸借対照表が作成できるのでしょうか。(たぶん、金融庁がこれでいいといっている以上、金融機関や監査人は従うのでしょう。)
教科書的には、状況に大きな変化がない場合に、過去(たとえば12月末基準日)の査定の結果を使うことができるのであって、今回のような場合は、むしろ、見直しを強化しなければならないはずです。
金融庁:検査指針を緩和 震災の影響を柔軟に判断(毎日)
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