外部調査チームの調査報告書受領に関するお知らせ(PDFファイル)
タムラ製作所(東証プライム)のプレスリリース(2024年11月14日)。
中国連結子会社 2 社における購入部品在庫の会計処理に関する疑義を調査していた外部調査チームより調査報告書を受領したとのことです。報告書(60ページほどのもの)も添付されています。
「連結財務諸表等に与える影響額は、購入部品在庫に対する不適切な会計処理の訂正 320 百万円、および、利益調整を目的とした仕訳操作の訂正 10 百万円であり、合計 330 百万円の利益減額となります。」
影響は限定的だとして、過年度の決算の訂正は行わず、2025 年 3 月期第 2 四半期(中間期)の中間連結財務諸表にて処理するそうです。
報告書によると、エイジング(「エイジングルールに基づき、棚卸資産の滞留期間に応じて定められた一定割合の引当率により、棚卸資産評価損が洗替え処理により計上されること」と定義されている)を不正に回避していたようです。
発覚のきっかけは...
「(1)本件エイジング回避疑義が発覚した経緯
2024 年 7 月 16 日、当社 ICT 所管部署の担当者が、執行役員会へ提出する報告資料を作成している過程で、TDS における月別エイジング評価損の額が、毎月ほぼ同額で推移していることを認識し、何らかの調整が行われているという疑いを持ったことから、TDS の過去 1 年分のデータを確認したところ、エイジング評価損の発生を調整していることが疑われた。..」
金額が変わらないからといって安心してはいけないのでしょう。
不正(評価減回避)の手口は...
「当調査チームは、本件エイジング回避疑義について所要の調査を行ったところ、①TDC において、遅くとも 2014 年頃から 2023 年 2 月頃まで、ごく少量の原材料を発注し、受入処理した後に、当該材料在庫の棚卸減耗(在庫調整)[2]を行うことにより、エイジングを回避するという購入減耗が行われていたこと、②TDC において、2021 年 1 月から 3 月にかけて、X2 から受注したモデム製品の生産に関し、手動で WO を発行することにより、直ちに投入する必要性を欠く原材料を生産工程に投入し、仕掛品に科目を変更することにより、原材料としてのエイジングを回避するという仕掛品退避が行われたこと、③TDC においては 2023 年 2 月頃から、TDS においては同年 9 月頃から、それぞれ 2024 年 7 月末まで、ごく少量の原材料を発注し、受入処理した後に、当該処理を取り消すことで、エイジングを回避するという赤黒処理が行われていたこと、④TDC 及び TDS において、上記①から③以外の複数の手法によりエイジング回避の結果を生じさせる処理がなされていたことが明らかになった。」(報告書14ページ)
①や③は、最終仕入日に基づき滞留期間を自動計算していた裏をかいていたということのようです。
(注:TDC: 田村電子(深圳)有限公司、TDS :田村電子(蘇州)有限公司)