2021.11.14
「草野マサムネのロック大陸漫遊記」
FM TOKYO
11月ももう3週目。秋真っ盛り!
食欲の秋・・・ということから、「最近読んだ食文化についての本から」、肉じゃがのお話。
「肉じゃが」という言葉、1970年代半ばに広まったらしい。
そういう料理自体はあったけれど、「芋の煮っころがし」という名称だったのか?と。
草野「そういえば最近、芋の煮っころがしって言わんよね? 昔はよく言ってた気がするんだけど。じゃがいもの煮っころがしに肉が入っているのを『肉じゃが』って言うようになったのかな」
(たしかに、私が幼いころの母の夕食のメニューに「肉じゃが」という名称はなかったな。)
それから、「食材」という言葉も、TV番組『料理の鉄人』から普及したそうだ。(へ~、そうなんだ~)
参考図書は『ファッションフードあります』(畑中三応子・著)。
今回は、【ダムドで漫遊記】。
セックス・ピストルズ、クラッシュとともに「3大UKパンクバンド」にあげられるパンクバンドの代表的なバンドで、今も現役で活動中。
その中で「とっかかり」的な楽曲を選んでくれたそうだ。
(この番組内で、ダムドの名前、本当によく出てきます、草野くんの口から)
オンエア曲
01 紫の夜を越えて(スピッツ)
02 Neat Neat Neat(The Damned)
03 Fan Club(The Damned)
04 Love Song(The Damned)
05 Smash it Up, Pt. 1 & 2(The Damned)
06 Grimly Fiendish(The Damned)
07 Black Is The Night(The Damned)
08 Melody Lee(The Damned)
09 ハナノイロ(nano.RIPE)
10 醒めない(スピッツ)
漫遊前の一曲は、「新曲『大好物』が好評をいただいている中で、今年リリースしたこの曲も忘れないでね」ということで、スピッツの「紫の夜を越えて」(2021年、44thシングル、配信リリース)。
(いやいや、忘れてはいませんよ。あまり作りこまれていない、肩に力の入っていない、むき出しのスピッツ臭が気持ちいいです)
最初の曲は、「UKパンクバンド史上初のアルバムより」、「Neat Neat Neat」(1977年、デビューアルバム「Damned, Damned, Damned / 地獄に堕ちた野郎ども」)。
このneatは、今使われている「ニート(neet)」ではなく、「イケてる、カッコいい」という意味を表す。
「ワタクシとThe Damnedとの出会い」は、The Smith特集(ココ)でも登場した中学生時代のロック好きな友人、吉田くんの家で聴いたとき!
それまで聴いていたチープ・トリックやマイケル・シェンカーに比べて雑なラフな感じが「最初はいいとは思わなかった」が、カセットに入れてもらって何度も聴いているうちに「これはこれでカッコいいかも」と思うようになった。
ダムドは、1stアルバムがとくに「ラフでワイルドでスピーディーな感じでうるさい」。
ドラムサウンドが独特で、「シンバルやハイハットなどの『金物』のバランスがデカい」。「シャワシャワシャワ」って。
当時まだ10代だったボーカル、デイヴ・ヴァニアンは「吐き捨てる系のパンクな歌い方」。
なので、「ダムドは1stだけが好き、という人も意外と多いかも」。
(私は、好き嫌いではなく、1stしか聴いていない)
セックス・ピストルズやクラッシュでは、「政治的、下品、不謹慎」な歌詞が使われていたが、ダムドはアメリカのラモーンズのように「他愛もないことや、ちょっとポエムなこと」を歌ったりしている。
「そのへんが物足りないと思った人もいるかも」と。
そして、The Damnedのなりたち。
1975年、のちにプリテンダーズで人気をはくすクリッシー・ハインドのバンドにいたデイヴ、キャプテン・センシブル、ラットと、ロンドンSSという伝説的なプレパンクバンドにいたギタリストのブライアン・ジェイムスが合流して結成。ボーカルオーディションには、あのシド・ヴィシャスも参加していたとか。
76年にシングルリリースでデビュー。これは、セックス・ピストルズの「Anarchy in the U.K.」の5週間前のことで、ダムドはUKパンクシーンで最初にレコードリリースしたバンドということになる。
さて次は、「不穏な空気の漂うUKパンクシーンの名曲」、「Fan Club」(1977年、デビューアルバム「Damned, Damned, Damned / 地獄に堕ちた野郎ども」)。
(これ、結構よく聴いてたなあ)
ダムドがパンクロックらしいサウンドを奏でていたのは1stアルバムだけで、2nd以降は「デイヴさんもメロディーをちゃんと歌うようになって、どんどんポップになっていった」。
ポップと言っても売れ線ではなく、「彼ら独自のロマンシティズムの世界で、のちのブラーやスウェードなどのブリッドポップ勢にも結構大きな影響を与えたのではないかと思います」
次は、「そんなダムドの曲」、「Love Song」(1979年、6thシングル/1979年、3rdアルバム『Machine Gun Etiquette』)。
(耳に心地よいサウンドとメロディー。これが1stだけ好き!というファンには受け入れられないのかも。でも美しい楽曲)
草野くん自身は、「ダムドの1stと3rdばっかり聴いていたので、そこからの曲がどうしても多くなる」と。
10代のころはこの『Machine Gun Etiquette』を本当によく聴いていたそうで、「うちの田村もダムドが好きだし、初期のスピッツにはかなり影響を与えているのではないかと思います」。
ココで「Love Song」をかけて、草野・田村がダムドを語っています。
次の曲は、「Smash it Up, Pt. 1 & 2」、(オリジナルは、1979年、3rdアルバム『Machine Gun Etiquette』)。
二部構成になっていて、「ちょっとプログレっぽいのかな。そういうところもパンクバンドを一線を画すところじゃないか」と。
(メロディーもサウンドも、流れが心地よいです)
さて、The Damnedの歴史は大きく3つに分けられる。
まず、「ギタリストのブライアンさんが在籍していたパンクロック時代」。
そして、「ブライアンが抜けて、キャプテン・センシブルさんがベースからギターにコンバートして主導権を握ったブリットポップ時代」。
最後に「キャプテン・センシブルさんが抜けて、ボーカル、デイヴ・ヴァニアンさんの趣味が前面に出たゴス時代」。
デイヴさんはパンクロック時代からドラキュラの扮装をしたりして、そっちの趣味はあったようだ。この扮装は多方面に影響を与え、「ゴスの元祖」と言われている。
次は、「Grimly Fiendish」(1985年、6thアルバム『 Phantasmagoria』)。
草野くんは、ここまでのアルバムは当時も聴いていたそうで、このアルバムは「ジャケ写だけ見たら、ラルクアンシエルみたい」だそうだ。
そして、ダムドには、2015年公開のドキュメンタリー映画がある。
ダムド初のドキュメンタリー/映画『地獄に堕ちた野郎ども』予告編
草野「DVDを買って見ましたが、結構赤裸々な内容でしたね。ベテランになっても起こるバンド内のいざこざとか、そのまま映していました」
「ガンズ・アンド・ローゼズがダムドの曲をカバーしてくれるらしい」→「かなりのお金が入ってくるだろう」→「でもバンドとして、それでいいのか」などという内容のいきさつというか諍い?もあったとか。
草野「(カナダのヘビメタバンドの)アンヴィルのドキュメンタリーに近いかな」
キャプテン・センシブルさんの下品なブラックユーモアがおもしろくて、「それだけで一見の価値があるかな。イギリスのビートたけしさん風」だそうです。
ここで、「最近リリースされた作品から」、「Black Is The Night」(2020年、4th EP『Rock Field Files』)。
パンクというより西部劇風な世界観(わかる~!)で、「デイヴ・ヴァニアンさんのダークなロマンチシズムを感じる」と。
(1stしか知らない私のようなダムド素人には、まったく別バンドだ。おもしろい)
ダムドは90年代以降、オリジナルメンバーで活動したり、メンバーを入れかえたりして、精力的に活動している。
このリリース時に同時に発表された、オリジナルメンバーによる2度目の再結成ツアーは、コロナで来年2月に延期されたそうだ。
草野「ダムドは来日したんだけれど、まだ一度もライブを見たことがなくて、今度来日したらライブに行ってみたいな」
最後は、「オレのいちばん好きなアルバムから」、「Melody Lee」(1979年、3rdアルバム『Machine Gun Etiquette』)。
(草野くんがダムドの中で最もきにいっているアルバム『Machine Gun Etiquette』、ぜひ聴いてみよう)
そして特集の最後に。
草野くんの福岡時代のバンドヒーローのアンジーは「今思うとダムドの影響が強かったのかな」。
ボーカルの水戸さんの目の周りを真っ黒に塗ったメイクは、デイヴ・ヴァニアンさん。
ギターの中谷さんの奇抜なファッションはキャプテン・センシブルさんだったのかな、と。
ピストルズやクラッシュに比べると知名度は低いけれど、「その後のファッションの影響度とか考えると、重要度は全然負けてない、と。
そして、「ちょっぴりタイムマシン」のコーナー。
曲は、nano.RIPEの「ハナノイロ」(2011年、6thシングル/2011年、デビューアルバム『星の夜の脈の音の』)。
草野くんはかつて、このバンドのデビューアルバムにレビューを寄せていました。
https://okmusic.jp/news/12830
スピッツのライブに何回も足を運んでくれた「面識のあるバンド。キャッチーで切なさのあるメロディーと、イノセントな特徴のある歌声が魅力」と。
草野「個人的には、フェンダーのギターのザリ~ンという響きがすごく好きで、気持ちいいと思った。ポップな曲調にフェンダージャガーの金属的な尖った組み合わせがステキだと思った。若手だと思っていたけど、結成23年か。ベテランの域に差し掛かっているんだな」
現役バリバリのバンド!
nano.RIPE / 虚虚実実 - Music Video
何度かライブに行ったことあり。
キュートな声だけどサウンドがタイトで、快感を味わえる。ほかの形容が思いつかないけど、「カッコいいバンド」です。
そして来週は、【ヘアメタルで漫遊記】。
80年代のアメリカで派手な衣装のメタルバンドのブームがあった。
ロスを中心にしていたので「L.A.メタル」、ちょっとグラマラスなので「グラムメタル」とも呼ばれた。
90年代のオルタナ界隈では、「ヘアスタイルばかり気にしていたバンド」ということで、「ヘアメタル」などと揶揄して呼ばれていた。
だけど、そう分類されていたバンドの曲を今聴くと、「意外といいんです」。
そんなヘアメタルの曲を集めて、特集です!
そして、「草野さん、サツマイモの旬は、熟成が終わったこれからなんですってよ」
(最近になって、個人的にサツマイモブームがきている。むか~し、母が蒸かし芋が大好きでよく食べていたけれど、勧められても食べなかったなあ。なんで好きじゃなかったんだろう)
nano.RIPEのきみコさんがつぶやいています。
https://twitter.com/nanoripekimiko/status/1459873386851569665
「君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き そんなこと言う自分に 笑えてくる♪」
やっぱり「そんなことを言う自分を笑ってしまう “僕”」だから、聴いていて気持ちがいいんだろうな・・・。
どんなに恋の渦にのみこまれても、こんなふうに自分を客観視する冷静な目が、スピッツの曲の奥に潜んでいる。そして、私はそれにちょっと安心したりする。
ヘンだけど、これって何なんだろう?
そしてたぶん、THE YELLOW MONKEYの「真珠色の革命時代」の力を借りて、変わらない日常をいたずら心で突き刺して笑うんだろう。