2024.09.01
ロック大陸漫遊記
TOKYO FM
「9月1週目! 運転中の方、お仕事中の方、暇こいてる方、いろんなシチュエーションの方がいらっしゃると思いますが、ちょっとした息抜きにしていただけたら幸いです」
そして今日は、ワンアーティスト特集、【L⇔Rで漫遊記】。
スピッツと同世代のバンドで、「スピッツ、シャ乱Q、ウルフルズと同様、90年代半ばにブレイクしたバンド」で括られそうなバンドの1つ。
「中心メンバーの黒沢健一くんが2016年に亡くなって、もう8年近くたつ」が、改めて」彼がいかにすごいメロディーメーカーだったかを振り返りつつ、L⇔Rのナンバーで漫遊したいと思います」。
オンエア
01 スパイダー(スピッツ)
02 KNOCKIN' ON YOUR DOOR(L⇔R)
03 LAZY GIRL(L⇔R)
04 (I WANNA)BE WITH YOU(L⇔R)
05 HELLO, IT'S ME(L⇔R)
06 Game(L⇔R)
07 ブルーを撃ち抜いて(L⇔R)
08 気分爽快(森高千里)
漫遊前の1曲は、スピッツで「スパイダー」(1994年、10thシングル/1994年、5thアルバム『空の飛び方』/シンセサイザーはプロデューサーの笹路正徳さん)。
黒沢くんと大阪のラジオ局で同じ番組のMCをしていたとき(『GAMBO』)、「お互いの曜日にゲストとして出たことがあって、そのときスピッツのこの曲をカバーしてくれたなあという思い出に浸りつつ・・・」ということで。
(草野くんは本人を前に、「HELLO, IT'S ME」をちょっと照れくさそうに歌っていました。「スパイダー」・・・、ライブでは聴き慣れているけれど、こうして改めて音源を聴くと、名曲だな、なんて思います)
基本的にこの番組は曲をフルでかけることになっているが、「今日は曲にトークが乗っかり気味になるかも」と前置きが・・・。
最初の曲は、「彼らの代表曲かな?」、L⇔Rの「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」(1995年、7thシングル/6thアルバム『Let me Roll it!』)。
曲終わりの第一声が、「掴みの一曲。やっぱりスカーッとするもんね」。
最近の黒沢秀樹さんのインタビューでは、この曲は「健一くんがすごい勢いで短時間で作った曲」。
すごいな!と思うと同時に、「そういうことってあるよな。勢いで作った曲がシンプルさゆえに多くの人に受け入れられる」と。
スピッツで言えば、「空も飛べるはず」。「あさってプレゼンするから急いで1曲作ってきて」と言われて一晩で作った記憶があるとか。
「(『KNOCKIN' ON YOUR DOOR』は)そんな感じだったのかな」と。
L⇔Rについて。
黒沢健一さんは1968年、茨城県日立市で生まれる。
高校生のときに組んだバンド「ラギーズ」で出場したコンテストで、小室哲哉氏から「ベスト・コンポーザー賞」を受ける。「結構、若いときからすごかったんですね」
上京後もバンド活動を続けながら、88年に19歳で作曲家デビューすると、ソニーの契約作曲家になる。「すごいね、契約作家って・・・」
その後バンドのギタリストが脱退すると、弟の秀樹さんが加わるが、その後ベースもドラムスも脱退して、ラギーズは解散。
その後、兄弟2人でデモ制作を続け、その後ベーシストの木下裕晴さんと出会い、L⇔Rを結成。
バンド名の由来は「音楽の記号っぽくていい」「黒沢兄弟のつむじが左右逆だった」などなど諸説あり。
そして、1991年11月、元四人囃子のドラムスだった岡井大二さんのプロデュースでデビュー。初期は、嶺川貴子さんがキーボード担当。
L⇔Rはスピッツよりずっと早くから話題のバンドだったし、ブレイクも早かった(ホント。音楽誌の特集もたくさん組まれていたし)。
「L⇔R、うらやましいな、と正直、思ったりしてましたね。レコード会社も同じ系列だったので、結構ニュースも入ってきてた」
でも「オレの曲は黒沢くんのと違ってどんくさいしL⇔Rみたいに売れることはないんだろうな、と遠くの存在を見るような気分だった」と今になって思い出すそうです。
次の曲は、L⇔Rの「LAZY GIRL」(1992年、1stアルバム『Lefty in the Right』)。
草野くんが「個人的にメチャメチャ好きな曲」。
この曲はスマホの小さなスピーカーで聴いているとわからないが、ドラムが完全に左にふってあったりして、曲の展開にも意外性があって、すごく攻撃的な曲だなと思います」。
この曲は、「L⇔Rは、ポップスの優等生におさまらない、ロックな、ある意味パンクなバンドだと気づかされる」。
(カッコよくて尖った曲)
曲終わりで。
最後に出てくる女性の歌声は、イギリスの伝説の海賊ラジオ局「Wonderful Radio London」のジングルで、「これはThe Whoのアルバム『The Who Sell Out』で使われてるやつとたぶん同じ」。「こういうところもしゃれてるな、と思います」と。
次は、L⇔Rの「(I WANNA)BE WITH YOU」(1992年、2ndシングル/1992年、2ndアルバム『LAUGH+ROUGH』)。
2003年からのMOTORWORKSの活動で黒沢くんとは縁も深かった田村くんからのリクエストがこの曲。
田村くん曰く、「今聴いても、音像というか世界観がおもしろい」。
田村情報では、「L⇔Rはスタジオにこもって、おかしくなるくらいにレコーディングに集中していた」そうだ。
そう考えると、「L⇔Rの音源って、そういう作業の結晶のような作品群だといえる」。
この曲も「メロディーがパッとしていていいんだよね」。
(本当に、キラキラした音が踊って胸に迫る。よく聴いたなあ、この曲)
そして次は、L⇔Rの「HELLO, IT'S ME」(1994年、6thシングル/1994年、5thアルバム『LACK OF REASON』)。
ここでも少し歌ってくれて、「これ、マジで美しいメロディーだと今も思いますけどね・・・、すごい」と改めて納得するかのように言う。
この曲は、2008年の『ロックロックこんにちは』(Zepp Osaka)で、その日限りのユニット「クロムラサキ」(メンバーの、黒沢健一+田村明浩+﨑山龍男、から命名)が演奏。
L⇔R - HELLO, IT'S ME[Official Video]
メッセージコーナー、そしてエピソード。
10代でL⇔Rが好き、というメッセージには、「今の10代の方にも受け入れられるようなエバーグリーンなメロディーの曲が多いので、もっと広めてほしい」。
「木下さんのベースは曲に推進力を加えているようで好きです」というメッセージに、今回ヘッドホンで聴いて、「L⇔R、ベースもいいな」と改めて思ったという草野くん。
「ベースラインが攻めている曲もあるし、ミックスもベースの音が太めだったりするので、その辺を聴いてみても楽しいかも」
テレビ朝日の『ミュージックステーション』で、L⇔Rとスピッツが同じ日に出演したことがあった。「95年とか96年頃かなあ」
草野くんはL⇔Rを似た者同士のように思ってて勝手にシンパシーを感じて、「テレビの音楽番組って、なんか有名人ばっかりで場違いな感じするよね」と思わず話しかけたことがあるそうだ。
スピッツもL⇔Rも「ちょっと素人さんっぽい」。
そのやりとりについて、最近の黒沢秀樹くんのインタビューで話題に出ていたそうです。
草野くんが先ほどネットで調べたら、95年の年末特番だったようで、中森明菜、安室奈美恵、福山雅治らが出演していて、「そりゃあ、スピッツ、素人臭が際立つよな」(笑)。
次は、L⇔Rの「Game」(1995年、10thシングル/1995年、6thアルバム『Let me Roll it!』)。
ここまでの曲もそうだけど、L⇔Rは「サビ始まりで、ガチッとハートをつかまれる曲が多いです」。
この「Game」も、「L⇔R、サビが強いな。武器だな、と思わせる曲です」
L⇔R - GAME[Official Video]
曲終わりで、「ベースも気持ちよかったですね」。
漫遊最後は、L⇔Rの「ブルーを撃ち抜いて」(1997年、7thアルバム『Doubt』)。
このアルバムの制作期間には黒沢健一くんは悩んで疲弊していたそうで、バンドとしても大変な時期だった、という。そしてそのあと、活動休止になる。
そんな事情は知らなかった草野くんは、「力作で、聴きごたえのあるアルバムだな」と思って聴いていた。
この曲は、「派手なキャッチーさはないけれど、何度聴いても飽きがこない、聴けば聴くほど沁みてくる」と。
(このラストアルバムも、ヘビロテだったなあ)
L⇔Rは「まじめなバンド。音楽に誠実なバンド」というイメージをもっていた草野くん。「誠実ゆえの悩みが多かったのかな・・・と、これはあくまでオレの推測ですけど」。
そういう意味では、「スピッツはいい加減なところが、長く続いている要因かな」。
L⇔R、今日聴いたのはたった6曲だが、「密度の濃さを感じますよね」。
黒沢健一くんは2016年に亡くなり、もうL⇔Rとしての活動はないけれど、「2021年から弟の秀樹くんが自身のライブでL⇔Rの楽曲を歌うことを解禁しているそうです」。
特集の終わりに。
L⇔Rとは、テレビ・ラジオで一緒になったことはあるしMOTORWORKSを見たこともあるけれど、対バンやフェスで一緒になった記憶はないそうです。
インディーズの頃たまに対バンしていたミスチルやTHE BOOMと違って、L⇔Rはライブハウスシーンから出てきたバンドではないから。
だから「ちゃんとライブを見たことがなくて、それは心残りです」。
今日の「ちょっぴりタイムマシン」は、森高千里さんの「気分爽快」(1994年、22thシングル/作詞:森高千里、作曲:黒沢健一)。
(イントロは、胸にしみる「みなと」)
黒沢健一くんの作曲。
「改めて、平成を代表するメロディーメーカーだなと思います。L⇔R以外のアーティストに提供した曲のクオリティーも高いんですよ」
湯川潮音さんに提供した曲もよくて、どちらにしようか迷ったが、今回はこちらにしたそうです。
「ポジティブなメロディーと曲展開は、22世紀まで引き継がれてほしいナンバー」と。
そして来週は、「夏の終わり曲で漫遊記」。
今年は「すんごい暑い夏でしたが、来週は9月に入って少しは暑さが和らいでいる頃かな・・・と、そんな季節に寄り添う夏の終わり曲で漫遊・・・だそうです。
あくまで草野くんのセレクトで、「実は夏の終わりを歌ってなかったりするかもしれないけど、あくまでゆるいしばりで・・・」
(暑さが残っていたとしても、夏の終わり・・・というだけでせつないなあ)
「草野さん、謎の傷が見つかったんですけど、もう治りかけでした」
(あるある・・・痣とかね)
追加
牧村憲一さんの思いが伝わります。
https://x.com/makiji/status/1831376665999765565
ここではひさびさの青空が広がって、眩しいほどだった。
気温も上がって、暑さも戻る。
夏が未練がましく居座りそう。それはそれでいいけど。