隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

憧れの人 緒形拳さんへ

2008年10月07日 17時43分17秒 | プチエッセイ
 「緒形拳 急死」の知らせは、予告もなく私の目に飛び込んできた。
 どの作品を見ても、どのタイミングでも、私が憧れる姿でそこにいてくれた役者だった。あの年齢になっても、いつも「次は?」と楽しみにさせてくれる役者なんて、そうはいないだろう。
 厳しそうで、それでも優しそうで…、そしてなによりチャーミング。 
 
 おととしの「白野」のひとり芝居で感じた不思議な幸福感を、今思い出している。あそこに流れた心地よい空気を、きっと大勢の人が覚えているにちがいない。
 緒形さんはカーテンコールの拍手のやんだ絶妙なタイミングで、小道具のステッキを高くかかげて、たった一言「さよーなら~」と言ったのだ。空に消えていきそうな、小さな、でも客席の後ろまで聞こえる不思議な声で。
 緒形さんの訃報を聞いたとき、私はあの「さよーなら~」を思い出していた。

 映画「長い散歩」の生意気なレビューは、今読むとちょっと恥ずかしいけど、「白野」のレポは大切にしたい。
 陳腐だけど、緒形さん、ありがとう。これしか言えない。

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