遡ること35年前、1978年に佐賀大学に入学し、「不知火寮」に入りました。佐賀大学の前身は「旧制佐賀高等学校」で、1920年に設立され、1950年に廃止され、佐賀大学となったものです。その伝統ある大学の不知火寮に入った時の驚きといったら・・今でも鮮明に蘇る。2人部屋で隙間風が入り、冬は寒くて寒くて、布団を巻きつけ、毛布を幾重にも着こんで眠ったものです。深夜やっと眠りに入ったと思ったら、寮のどこからか・・・聞こえてくるのです。「起きろ、起きろ」。
何だ・・何なんだ・・と呆然としていると、先輩方々が部屋を開け、「これからファイヤーをするぞ。赤ふんどし いっちょになって集会所に集まれ」。
ということで、真冬の酷寒のなか、すっぱだかで白波の一升瓶をかかえ、ラッパ飲みをさせられ、寝ている全ての寮生を起こし、寮歌「南に遠く」を歌い、踊り・・・ああ、高校を卒業して、なんともおっとろしいところに入ったものだ。こうして振り返ると本当になつかしい。青春の貴重な体験です。
「南に遠く」は、35年前の記憶を呼び起こしながら書いてみました。「南に遠く」を愛し、当時一緒に歌ってくれたK.H.さんに加筆修正していただいたものです。機会があればK.H.さんと一緒に皆さんに披露します。 では・・・・
「南に遠く」 旧制佐賀高等学校寮歌
【巻頭言】
お-りゃ おりゃおりゃおりゃ~
仰げば星斗爛かんとして 永久の真理を囁く
頭(こうべ)を巡らせば不知火 延々として 若人の熱を語る
自然の恵み豊かなる この筑紫野の一角 天地の正気おりてたつるもの
実に我が佐大不知火寮なり
いざや歌わんかな 我らが朴訥(ぼくとつ)の歌 南に遠く
いざや踊り狂わんかな 我らが熱血の舞 南に遠く
アイン ツバイ ドライ
[1番]
南に遠く振古より
ゆえ不知火の熾りたち
明け暮れ若き血に煮ゆる
男(お)の子のこうと促がせば
健児集えるこの野辺を
人崇めたり火の国と
[2番]
ああ青春よ我にまた
胸に燃え立つ火のありて
行く手遙けき人の世の
旅の標べを求めてぞ
伝えも奇しき不知火の
名に負う寮に籠もりたり
[3番]
山抜かんとて持つ力
世を覆わんとて抱く意気
幾火となりて血は沸けど
四年飛ばずまた鳴かず
雲雨を待ちて筑紫野の
月を仰ぎて唱詠す
月を仰ぎて唱詠す