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出勤途中、激しい雨に見舞われた。台風15号は当地にはあまり影響はないと甘く見ていた。最速のワイパーも手に負えなくなったので脇道に入り車を停車して様子をみることにした。この脇道は旧道で頭上には雑木が被い茂り暑い夏場の日中は涼を求める車が休憩するのに絶好の場所となっている。時刻は朝の6時30分というのに激しい雨は夜明けも遅らせて暗い。ゆっくりハンドルを切りながら停車して良きも悪しきも全て洗い流してしまいそうな雨をじっくりと味わうこと10分余、嘘のように止んで小雨になった。
背後に薄日を感じながら車をゆっくり発進させると、コトンコトンと何かに軽く当たる感触に不安になり停車すると、何とフロントガラスの向こうに青い実つけた柿の枝が垂れ下がっているではないか。左右も柿の枝に囲まれていた。柿の木のトンネルに迷い込むなんて何と愉快なことか。
前進するには、まだ若き柿の実さんにも、車にとっても良くないので苦手なバックをするしかない。何とかバックに成功してもう一度目の前の風景を眺めやると、枝を張り出した木々に生命溢れるクズのかずらが巻き付き赤紫の花は咲き誇っていた。
雨の止んだ路面はクズの散り花で赤く染まり薄日が微かに射し始めたこの場をぼつぼつおいとました。