ハシちゃんの詩(うた)日記!

山郷の散策つれずれを
ペットのハシちゃんとつぶやきます。

庭から消えたホウセンカの花

2012年06月30日 20時42分17秒 | 日記 
 断続的な雨の1日だった。よそ様の庭に真っ赤なホウセンカが群がって咲いているのを通りすがりに気づいた。
 山羊(やぎ)の太一君が自らの命を断ってもう3年の月日が流れたであろう。弔問を済ませ重苦しい気持ちを引きずって外に出ると、彼の庭は真っ赤なホウセンカの花でいっぱいだった。その翌年から我が家の庭から、ホウセンカの花が消えた。発芽率が良く放っといても種が落ち育つホウセンカは、毎年のように赤、白、紫の花が咲き誇っていた。
 暑い暑い、蝉しぐれの押し迫るあの日、彼の庭の真っ赤なホウセンカは強烈に心に残っている。この時から、もうホウセンカは庭には咲かせまいと決めた。太一君の庭は今年もホウセンカが咲き始め、ひまわりがこぶそ大に蕾んでいる。何事もなかったかのように。
 どんな悲しみも、『風化』という文字が連れ添う。いいことだと思う。赤いホウセンカの花は太一君を忘れないための花かもしれない。

             弔問を済ませし庭に鳳仙花
             
             友逝くや庭に真っ赤な鳳仙花 
  (はしちゃんの句)より

カタツムリの旅 (はしちゃんの詩)より

2012年06月29日 18時10分50秒 | 
梅雨晴れの蒸し暑い日
空色した紫陽花の花も
深い緑の葉っぱも
うなだれてしまった
大きな紫陽花の花の中から
コガネムシがカタツムリに言う
『君は本当は巻貝で 君の古里は海なんだよ』

蒸し暑い紫陽花村から
逃れたカタツムリは
古里の海目指し
長い旅路が始まった
のたりのたり のたりのたり

辛い旅路
カタツムリは何度思ったか
ああ 背中の家さえなければ
どんなにか身軽だろうかと
捨てられるものなら
捨てたいと

海への旅路
諦めようと思った時
紫陽花村のコガネムシの
言葉思い出す

『海は空と同じ色で広く深く
スイスイ泳げるんだよ』
コガネムシのように空を飛べない
カタツムリは
空のような色と広さ持つ
海へと向かった
のたりのたり のたりのたり

深い霧にお似合いの白線

2012年06月28日 19時50分45秒 | 日記 
 早朝、深い霧の湧き出る緑の風景を車で突き進んでいて、ふと思った。道路に引かれた線(中央線、路肩線)が白色で良かったなと。目の前に迫る霧の風景を、車で追っかけていると、この白線は素直に緑と霧にすーと馴染んで溶け込んでいくようだ。自身もその絵のなかに同化しているような錯覚に捕われてしまいそうになる。めったに前後に車がつくことがない通勤路は楽しい。ハンドル握りながら、道路の白線を他の色に置き換えてみるが、やはり白がお似合いだという結果になった。
 白と言えば、久住連山に濃い桃色のミヤマキリシマが咲き誇り全山が埋め尽くされるなか、ちょっと離れた場所に真白のミヤマキリシマがぽつんと一株だけ咲いているのに出逢った。この時の白色は少し寂しい孤立感を持って眺めたものだ。


 
 
 

ヒグラシのオーケストラ (はしちゃんの詩)より

2012年06月27日 20時32分55秒 | 
夏の明け暮れ
竹やぶにも くぬぎ山にも 杉山にも
ヒグラシの
オーケストラがやって来るよ
かなかな かなかな

朝顔が
彩り良く咲くのも
ひまわりが
お日さまの分身だと
思い込んでしまうのも
ヒグラシの
オーケストラの魔法なんだと
はしちゃん
とっくに気づいているよ


  きょうも雨。憂鬱なはしちゃんは、もうすぐ始まるであろう
  蝉しぐれを想い起こしながら歌ってみたよ。

タチアオイの咲き終わる頃

2012年06月26日 17時47分08秒 | 日記 



 梅雨入り前後に咲き始めたタチアオイの赤い花があちこちで見られる。白や黄の花に比べ赤はとても目立つので、通勤途中は雨、霧に煙る風景画の中に点在する真っ赤なタチアオイに妙に惹かれる。この花は下から咲き登っていきながら背はぐっと高くなる。
 村の翁から聞いた話だが、タチアオイの花が茎のてっぺんまで咲ききったら梅雨が終わるらしい。随分前に聞いたもののうっとおしい梅雨の真っ最中だけ『タチアオイの花の謂れ』をふと思い出すが、未だに確認したことはない。そもそも、梅雨明けそのものがはっきりしないまま、この時期は過ぎていき私も忘れてしまう。
 この梅雨こそ忘れずにタチアオイを毎日愛でよう。残りの蕾は12個と13個、タチアオイの予報は約2週間で梅雨明けとなる。

     咲き満つる葵いの花や梅雨に入る  正岡子規 


悲しみなんてこの花に (はしちゃんの詩)より

2012年06月25日 19時28分52秒 | 


きょうも雨
あすも雨
降っても降っても
まだ止まない

カラーの花の中には
なぜか
雨は溜まらない

空が破けて
天の雨が全て
降ってきたとしても
カラーの花は
雨なんか溜めない

この星の悲しみ
カラーの花の中に
みんな
流してしまおう

どんな悲しみだって
カラーの花なら
地中深くに
消し去ってくれる

きょうも雨
あすも雨
降っても降っても
止まない

梅雨にうなだるる紫陽花

2012年06月24日 18時50分53秒 | 日記 
 やはり今日も雨。梅雨だから仕方ない。アジサイには雨が似合うとは言えもうギブアップだ。大きなマリのような花はみんな地面に届かんばかりにうなだれている。本当はアジサイにとって霧雨が心地良いのではなかろうか。私も夏の霧雨に濡れるのが好きだ。
 うなだれ過ぎてあまりにも可哀想なので、そっと持ち上げて揺すって雨粒を落としてみると少しは楽そうだ。アジサイの花何本かを揺すっていると、コガネムシやアマガエル、カタツムリたちが振り落とされてしまった。最近はカタツムリを見かけないと思っていたので意外な対面だった。投げ出されたカタツムリは驚いて戸を堅く閉めてしまったようだ。私の居なくなった後、やおら頭だし角出し目玉出しのったりのったりアジサイを目指すだろう。
 外は雨脚が衰えない。庭で一番の背え高のっぽのカリンの緑の実が数個ビワほどの大きさとなり雨風なんのその尻を天に向け自己主張の真っ最中だ。
 アジサイさんの為とまで言わないが、雨も一休みして欲しいものだ。

あいちゃんの回想 (はしちゃんの詩)より

2012年06月23日 19時08分02秒 | 
暑い暑い夏
あいちゃんは
薄紫の花をたくさんつけた
大きなムクゲの木陰で
居眠るのが大好きだった

あいちゃんの鼻先で
ツユクサの花が笑っていた

散歩のとき
自慢のふかふかのシッポに
枯れ葉がくっついて
泣きそうだった
あいちゃん

夏が去り
秋も慌ただしく去ってゆき
寒い冬のある朝
あいちゃんは
眠くて眠くて
どうしても目覚めることが出来なかった

東の空に
ぽっかぽっかの
お日さまが昇りつめると
あいちゃんは
お日さまの子供になってしまった

はしちゃんの
思い出ぶくろは
あいちゃんのことでいっぱいだ


ホタルブクロの中は だあれ?

2012年06月22日 19時24分20秒 | 日記 
 庭に野生の白いホタルブクロと販売されてた赤いホタルブクロを植えて楽しんでいたが、赤い洋種のホタルブクロだけが生き残るまでに、そんなに年数はかからなかった。こんな事から、野路を歩けば野生の白い可憐なホタルブクロは土手にたくさん咲いているので、もう、庭には連れて帰らないと決めた。
 ギボウシの葉の間からすくっとのびた、赤いホタルブクロの筒花が一つだけむくむくとうごめいていた。花茎全体も横揺れが激しい。うん?風なんてないよと思いつつ良く見ると、ころころ太った蜜蜂らしきものが後ろ向きに出て来た。なんだ、ホタルブクロはホタルの寝袋ではなかったのだ。コロコロ蜜蜂くんの寝袋だったんだ。
 梅雨の合間の晴れ日を五月晴れ(さつきばれ)と呼ぶが、きょうの五月晴れは、コロコロ蜜蜂くんの他に英気を養った者は多くいたに違いない。
 五月晴れの青空は白色が多めに溶け込んで、優しい空色をしていた。

五月雨(さみだれ)の旅   (はしちゃんの詩)より

2012年06月21日 18時11分51秒 | 
里山育ちの
大粒の五月雨(さみだれ)が
小川に皆んな集合だ
あっちの村やこっちの町の
五月雨皆んな合流だ

きょうは
物見遊山の旅じゃない
真っ黒な雲の絨毯(じゅうたん)が
頭上にお覆い被さり
今にも落ちてきそうだ

ああ 随分流れて来たもんだ
夕闇の向こうに
赤や青のネオンサインが
霧に煙る街に点滅している

おお 大海だ
五月雨たち一粒一粒の望郷をも
飲み込んでしまいそうな
大海へ
彼らは一気に押し流され行くだけ