断続的な雨の1日だった。よそ様の庭に真っ赤なホウセンカが群がって咲いているのを通りすがりに気づいた。
山羊(やぎ)の太一君が自らの命を断ってもう3年の月日が流れたであろう。弔問を済ませ重苦しい気持ちを引きずって外に出ると、彼の庭は真っ赤なホウセンカの花でいっぱいだった。その翌年から我が家の庭から、ホウセンカの花が消えた。発芽率が良く放っといても種が落ち育つホウセンカは、毎年のように赤、白、紫の花が咲き誇っていた。
暑い暑い、蝉しぐれの押し迫るあの日、彼の庭の真っ赤なホウセンカは強烈に心に残っている。この時から、もうホウセンカは庭には咲かせまいと決めた。太一君の庭は今年もホウセンカが咲き始め、ひまわりがこぶそ大に蕾んでいる。何事もなかったかのように。
どんな悲しみも、『風化』という文字が連れ添う。いいことだと思う。赤いホウセンカの花は太一君を忘れないための花かもしれない。
弔問を済ませし庭に鳳仙花
友逝くや庭に真っ赤な鳳仙花
(はしちゃんの句)より
山羊(やぎ)の太一君が自らの命を断ってもう3年の月日が流れたであろう。弔問を済ませ重苦しい気持ちを引きずって外に出ると、彼の庭は真っ赤なホウセンカの花でいっぱいだった。その翌年から我が家の庭から、ホウセンカの花が消えた。発芽率が良く放っといても種が落ち育つホウセンカは、毎年のように赤、白、紫の花が咲き誇っていた。
暑い暑い、蝉しぐれの押し迫るあの日、彼の庭の真っ赤なホウセンカは強烈に心に残っている。この時から、もうホウセンカは庭には咲かせまいと決めた。太一君の庭は今年もホウセンカが咲き始め、ひまわりがこぶそ大に蕾んでいる。何事もなかったかのように。
どんな悲しみも、『風化』という文字が連れ添う。いいことだと思う。赤いホウセンカの花は太一君を忘れないための花かもしれない。
弔問を済ませし庭に鳳仙花
友逝くや庭に真っ赤な鳳仙花