秋の雨は淋しい。野路を囲むクヌギ林はひっきりなしに落ち葉が舞い降りている。歩を止めて耳をすますと落ち葉の落ちる微かな音があっちこっちで途切れなくしている。緩やかな坂を登りきると、やがて廃校跡の校庭の樹木が見えはじめた。まだまだ緑色が大半を占める楓の大木の向こうに真っ赤な紅葉が目に飛び込んで来た。
いち早く秋に捕まった楓と、まだまだ秋を拒む楓の色彩のコントラストに魅了された。校庭のあちこちに出来た水たまりに枯れ葉が遊んでいる。
眠りの冬を迎える植物たちは色とりどりに染まり奇麗だ。とは言え何だか淋しいと思うのは歳のせいだろうか。陰暦の10月に出雲大社に全国の神様が集合するというが、この里の神々たちはもうお帰り遊ばせたであろうか。