『声をなくした紙しばい屋さん』

『声をなくした紙しばい屋さん』 関朝之/作 吉川聡子/絵(PHP研究所)

小学生でも読めるように書かれた本です。
病気で声を失った森下正雄さんと録音テープのことが、物語になっています。
私が特に好きなのは、6の「大人気の正義の味方」の章です。
黄金バットを翌日も持って来ると子どもに約束したのに、貸元にその画がなかったこと。翌日、おそるおそる行ってみると別の紙芝居屋さんが2回目の画を演じていたこと。そしてそれを、「よかった、これでいいんだ」とほっとするところです。

「オレがオレが」でなく、相手が喜んでくれることをなによりの喜びにしていたことが分かります。

13章の「時代の流れでも変えられないもの」で、
「黄金バットやライオンマンは僕たちのヒーローでした。でも大人になるにつれ、僕の心の中に今も生き続けているのは、紙芝居を一生懸命に見せてくれていた森下さんの姿なんです。」
「いえいえ、私は損得を抜きにして、紙しばいの灯を消さないように生きてきただけの、ちっぽけな人生を送っている人間ですよ」
というところも、好きです。

絵本の読み聞かせの、指導者の方々に言いたいのです。

読書させるために子どもがいるのではないのですよね。
大学入試のために読書させるわけではないですよね。
本の表現にこだわり続け、排除の果てに本や人のトップを決めて、行き着くところまで行ってしまったということはないのでしょうか。
本を楽しむ子どもは、自分が指導していい黒い塊ではなく、1人ひとり人間として違う感性を持っているのだということを、感じて欲しいと思います。
 
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
くくkじゅ (っむ)
2011-08-03 20:16:41
なかかか
 
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