講座受講生が現場に入ると

たくさんのコマの講義を受け、理念を聞いて感動して、さて現場にチャレンジしようと思われたときに、どんな壁にぶつかるでしょうか。

★ まず、きっかけがつかめない・・・・

現在どこかで活動しておられる方はまあよしとして、活動を広めようとか新しく参入しようという方々も多いでしょう。個人であれば「生涯学習ボランティアバンク」というのがあります。ここに登録するとどこに住んでいても自分の住まいの近くで活動できます。もちろん団体でもいいです。リンク

★もしも自分の急用でキャンセルしなくちゃいけなくなったらどうしよう・・・

団体に入って一生懸命やっていれば、だれかがカバーしてくれます。お互い様でやっているところがほとんどです。

★気候のいいときには山登りもしたいし、お友達づきあいもあるし、お稽古ごともあるし、そっちも大事なんだけど・・・

ボランティアというのは社会活動です。先に約束を入れたものを優先します。そして何が自分にとって一番大切か、ということを自分で認識していないと周囲にも迷惑をかけます。それからボランティアは「施し」でも「先生の教えを広める」ことでもないことを基本に据えて欲しいですね。

★先輩たちは異様に肩に力が入っているのにびっくり。自分もああやらなくちゃだめなのか・・・

最初に「良いもの」「真面目に地味に」と刷り込まれてしまったのです。インプリンティングで、最初に出会った講師を母親のように慕っている人たちが多いですね。良い本を吟味して・・・と習った方は、ちょっと一歩だけひいてみてください。絵本を楽しむのはボランティアの大人だけでなく聞き手の子どもが主体です。子どもの意見を聞きもせず、一方的に大人の趣味を押し付けることのないように、一旦枠組みを見直して、いろいろな方法にチャレンジする必要があります。

絵本は交流の道具です。知らない子どもと心を通わせるのに都合のいい道具です。物語をしっかり語って「ワタシの素敵な語り」をきかせるつもりが「ワンワンにゃーにゃー」で1分で終わり、てなことも多いんです。それが大切な心の通い合いでもあるんですね。そしてそこから何かをつかむことができるか、子どもから何を学べるか、発想を切り替える必要もあるでしょう。やがて、子どもを教育するどころか、子どもに助けてもらってるんだなーと、率直に思える日がくることでしょう。

★多数の子どもに一斉に聞かせる「おはなし会」をやりたいのに・・・

団体であれば図書館に申し出て、活動させてもらうといいですね。ほんぽーとは土曜の午前は大抵どこかの団体が入っています。春と秋には、特別バージョンで新規参入しやすくなりますので、それをきっかけにされる方が多いです。ほんぽーとの「おはなしのへや」は音が大変広がりやすく、扉をしめても音が筒抜けになるので、おはなし会終了後にちょっと雑談するとその音も全て児童室奥半分くらいまで響き渡ります。当会も何度か注意を受けて気をつけているところです。また、逆に考えると、自信がなくて音読の声が小さくてもそれなりに魅力的に聞こえます。

ほんぽーとでなく、各図書館でもともとやっている団体もあるので、そこに加入させてもらうのも一番手っ取り早いですね。異様にプログラム作りに力を入れている団体もあります。次のページにプログラム作りのコツについて書きます。力をぬいてやれるように、新人の方々の力で、状況を変えていくのも、長続きのコツかもしれません。

絵本の会がらがらどんも、新潟かみしばいクラブも、どんどん参加型の語りを取り入れています。これもあとで詳しく書きます。もう、子ども相手に一斉に黙って聞かせる時代は通り過ぎつつあると思っていいでしょう。選択・応用能力を育てるプログラムつくりのために、絵本を分類して「違うもの・違うもの」とつぎつぎ繰り出していければ、今、現代の子どもが抱える閉塞状況を壊していける力になると思っています。

多数の子ども相手がご希望ならば、それ向けに作られた紙芝居を利用すればいいと発想を変えてください。自分の都合より相手の都合(見える・わかる)を優先しましょう。当会には大きなイベントからの依頼も続々来ています。もちろん個別・集団への絵本読みもやりたい人にはやってもらっています。

 ★ 自分の好きな本があるのに「集団向き」ではないようで残念・・・・

「いっしょによもうよとしょかんのほん」という事業では、個別に読みます。聞き手のごく近くで読みますので、絵が細かくても大丈夫。ただ、ボランティアですから、何より相手のニーズに合わせる必要があり、結果として自分の視野が広まります。運がいいと長い本も一緒に読めます。臨機応変の対応力がつきます。

★ 聞き手の子どもが少なくてがっかり・・

自分が2・3歳の子どもを抱えて、堅苦しいおはなしのじかんのことを想像してください。そういうところに行きたいと思いますか?少なくて当然でしょう。図書館のおはなしのじかんは、どの年代にもそれなりに対応するように本を並べることが多いので、個別対応ではないのです。おはなし会をやる「おはなしのじかん」から、個別対応のできる「おはなしのじかん」に、ボランティアが変えていく必要があるのですが、今現在はそれは上記の「いっしょによもうよとしょかんのほん」という事業名でやっています。

これからのボランティアは「偉い先生のいる団体に入る」のでなく、「自分で道を選択できる融通の利くやり方を個人で模索する」または「そういう団体に入る」のがいいんではないでしょうか。自分の判断で動く、ということですね。

それから、しっかり物語を語りたいのならば、高齢者向けの需要の方が多いはずです。幅広い対応能力と自分の人間性に賭けてみませんか?

★ 自分はドジでマヌケなカメなので、皆さんに迷惑をかけないか不安・・・

ワタシもそうです。肝心なこともすぐ忘れるし。こんなブログ書くし。そんな人間でも世の中に存在していることを、子どもに自ら示しませんか。図書館の方に「新潟かみしばいクラブは会員さんも多いんでしょう、でもダメなのよ おっほっほ・・(こんなこと書いてると他の人に迷惑がかかるわよ)」などと凄まれることもたびたび。でも、子ども文化を認めてもらえないと、つまり「おやつ絵本なんてダメよ」の感覚にNOを示していかないと、紙芝居の存在そのものが否定されるのです。ブログを見て依頼を下さる方も、入会される方もあります。語りはもっと自由でなくてはならないし、図書館は行政機関なので、風向きは市民が決めるボトムアップ方式であるはず。おそらく、「でもダメなのよ」から推測して、新潟市は図書館直営方式なので中央集権型管理をいきとどかせるのが筋だと思っておられるのでしょう。

物語は、マヌケなカメ、人それぞれが持っています。一握りの名作物語に収斂させるのでなく、それぞれのちっぽけな物語に心を寄せるような世の中の方が、一人ひとりの人間が大切にされる気風が作られて、自殺に歯止めがかけられるのでは?一人ひとりが持つ物語を中断させなくてはならなかった悲しみを、今、想像しています。

 

 

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