日報「私の視点」投稿 

署名記事は本人の許可で転載可能だということで、佐久間さんの投稿を転載します。

「公園で紙芝居 出会いが喜び」佐久間和夫(66)

 原っぱがあり、開放感のある広い公園で、子供を相手に自転車紙芝居を始めて半年になる。普段の生活では味わえないことが多くあり、感動しきりである。
 行儀の良い子供だけでは面白みはない。分かりやすく、楽しんでもらうには、聞き手の数も20人から30人がちょうどよい。平日午前中は未就園児とお母さんになるので作品が絞り込める。午後になると幼児とお母さんに小学生。休日午後は小さい子供から大きい子どもに、お母さんとお父さんも輪に入ってくる。

 「この続きはまた次回のお楽しみに」とカチカチで終わると、子供たちは自転車の周りに集まってきて拍子木をたたいたり、会話も始まったりする。「今度いつくるの」とか「アンパンマンや冒険ものも、いっぱいやって」と大きい子供。短いものが中心だと話が熟さないうちに終わり、物足りない子供もでてくるので、物語性のあるものも入れる。
 小さい子供には参加型を一本入れる。子供に声を出してもらい、盛り上がらないときには「聞こえないよ」と再注文する。「前のは何さんが出てきて、どうなったっけ」と子供の反応を聞いてから絵を見せて「今度はこれなあに、何してるの」と、また問いかけて始める。

 子供は好奇心が旺盛で、自転車の前かごにはどんなものが入っているか興味津々。「おじちゃんと握手したい」という子供に出会ったり、若いお母さんから声をかけられたりもする。「公園で自転車紙芝居って、のどかで情緒があっていいですね」「どこを回られているんですか」「日を決めて来るんですか」などなど。子供やお母さんたちとのコミュニケーションが開けて、普段味わえないものに出会えることもある。
 この出会いで誰かの心を動かせたら、いつか誰かに話すかも知れない。そして紙芝居の輪が広がっていったら、ボランティアとしての喜びになる。

 今、子どもを犯罪から守るために、子供たちへの「無責任な声掛けは許さない」というポスターが公共施設などに張られていて、子供とかかわるのに戸惑うこともある。低俗に取られないように品位を保ち、事前に地域の公園を管轄する町内会長の許可をもらってから入っている。
 公園はサッカーやボール遊びに、滑り台やブランコで遊んだり、手弁当をもちよったり、思い思いのことをして、居たいようにしている憩いの場なので、紙芝居だけに取り込むようなことはしない。

 紙芝居は見るより演じる方がもっと楽しいもの。子供のように無邪気になって、ある時は昔話の鬼ばさに、またあるときは正義の味方に変身する。路地で子供から「あっ、紙芝居のおっちゃんだ」と声を掛けられたことがある。こんな時、心底「うれしいな」と思う。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 実演記録22...  実演記録 ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。