聞き手選書のPR・その2

新潟市の図書館では、「いっしょによもうよ としょかんのほん」という名前でやっています。

その2、個別のやり方

 平日ですと赤ちゃん連れが対象になることが多いのです。おはなし会のように、赤ちゃん向けのプログラム作りに苦しむことなく、当番の人はふらりと図書館にやってくればいいのです。事前に、10冊くらい、本を用意して持ち込む方もおられます。夏休みなど、学校が休みの日の当番のときは、結構忙しいです。
 
 こどもとしょかんに入ったら、自分で読めそうな本を数冊手元に持って、お客さまに声かけをします。親子で楽しそうにやっている人たちにはあんまり声をかけません。例えば、不慣れそうなお父さん連れとか、お母さんが忙しそうだとか、子どもを複数人連れているとか、そういう人を見たら声をかけます。名札を見せながら、「今日は、お子さんの好きな本を個別に読むボランティアですが、どうですか?」などと言います。「個別」という言葉は、学習塾などで個別講習ということで使われているので、結構意味が通じるようです。「おばちゃんとよむ?」などと言ったり、かなりくだけた話や、手遊びをしたり、それから、お母さんと子どもを交えて世間話をする人もいます。 もちろん断られたら、さっさとあきらめます。
 低い座卓を使って紙芝居舞台でやっていると、なんとなくあちこちから子どもが集まってくる場合もあります。目線が子どもの目線と同じ高さですね。
 
 とてもいいことは、場合によっては長い本や絵が細かい本も読めるということ。集団向けでないからと涙ながらにお蔵入りしていた本を、紹介することもできます。しげしげと絵を眺めたり、子どもと話をしたりして、これは自分の楽しみです。この前は、乗り物図鑑の中にクイズがあって、3才くらいの男の子と まったり過しました。数十分後、その子が離れたら、後ろから「これ読んで」と別の子に声をかけられました。私が前の子と過しているのを後ろから見て待っていてくれたのです。恐縮するやら嬉しいやら。
 他には、子どもが自分の膝に座ってくれたとか、次々持ってこられて1時間半だとのどがやられるから困る、などという人も。自分では絶対読まないような本も、手にとることになります。「へ~、いつもやってるんですか?」と聞かれることもたびたびです。だから、これを読んでいる皆さんも、ぜひやってみたらどうかと思っています。

(2月24日)追記
 もう一つ特筆することは、たくさん本を読めることです。一人で5~6冊読むこともあります。冊数は統計には現れてきません。手当たり次第という雰囲気で子どもは持ってきますが、それを受け入れながら自分も近づいていくというのは、子どものありのままを受容し自分の成長にもなると思っています。違いを認めるという訓練で、本から人への転換を、自分自身に求めることです。
 
 下手に読んで恥ずかしい、と思う方もおられるでしょう。でも「いしょによもうよ」ですから、自分は子どもと同じレベルにいるのが正解です。下手に読むと絵本の良さが損なわれる、という向きもあるでしょう。その程度で損なわれる本なら、たいしたことはありません。自分の嫌いな本は触るのもいやだという方には、生身の子どもを前にしてそう言えるのかなあ、と不思議に思っています。
 最初の子どもを育てる時は緊張して大変だったけれど、2番目以降の子は、気楽にやれるという話はよく聞きます。それと同じように、気楽に本に接することができます。ある意味、子どもにとってもより良い環境だと思えるのです。

 ある方は、紙を小さな円柱型にして、(詳しくはおぼえていないけれど)「本を読みますよ」、などと書いて、立て札代わりに机に置いて、図書館の自分の好きな本をお店のように広げています。自分のアイデアでそうされています。小さな家庭文庫ですね。自己資金の要らない家庭文庫です。もちろん子どもがいそいそとあちこちの棚から持ってくる本や紙芝居も読みます。自分も満足 相手も満足。
 もともと、聞き手選書型を提案した時は、「家庭文庫をやってみたい」とひそかに思われている方が多いことを知っていて、それを叶える手段としても使えると思っていました。

 もちろん、ほんぽーとが中央図書館として 人が沢山来るような図書館になっていてくれないと、図書館内家庭文庫も干上がってしまいます。その辺は、協力できることはやるつもりです。ヒマな時は、図書館の棚をなめるように見ています。

 最近気付いたのですが、見知らぬ人と言葉を交わすのですから、常に自分の言葉を持つ必要があります。それは、自分の言葉で物語を語るのと同じ。ストーリーテリングの時も、突発事態に対応したり、主体的に語ったりする訓練にもなるのです。暗誦型を知らない会員さんのほうが気楽に人と対話していてうらやましいです。暗誦型を知っているいないに関係なく、どなたも もともともっている語りの力が表に出てきているようにお見受けします。


 

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