教育学部と教育人間科学部

新大の教育学部は平成２０年度からそういう名前になったと記憶しています。その前は教育人間科学部という名前でした。ただ、教育人間科学部に入学した学生は卒業するまでその名前の学部に所属するわけだから、現在、２つの学部が並び存在しているということです。教育人間科学部の前身は教育学部ですよね、だから一時期、「人間科学」がくっついていた時期があったのだと思っています。まちがっていたらすいません。

いきなり何を言い出すかというと、どうして「人間科学」がくっついたかという疑問から書きたいからです。その時期（１０年くらい前？）は全国的に「人間」という言葉がくっついた学部がたくさん、全国の大学に生まれました。
　どうしてそうかというと、学問が人間を離れているという問題が指摘されるようになったからですよね。新聞の文化欄などで読みました。研究熱心のあまり、現実から離れ学問一辺倒になり、人間を不幸にする学問になっているという問題が現れたからです。十年くらい経ち、人間科学にのっとって人を幸せにする学問に方向が転換できたから、もとの教育学部に戻ったのかな、と思っています。一時期の問題を忘れず、地域交流を盛んにして、学生が宙に浮かないような工夫をして、人間本位の学問から離れないで欲しいです。

　こと大学だけの問題でなく、（いつもコレですいません）絵本の読み聞かせやおはなし会も、生身の人間に沿ったものでなくては、市民からそっぽを向かれても仕方がないでしょう。本の表現をするために人間が殺しあうようなステップアップやスキルアップには反対を唱えています。
　大学は人間本位に戻ったとメドがついて「人間科学」の文字が取れたのに、図書館は未だに学問として人間科学の立場に立つことが出来ずにいるような気がします。古い権威に縛られた読み聞かせ学も、同じ。読み方に縛られて誰が一番上手いか優等生の競争が浮世離れして行われ、聞き手の都合などお構いなし。１０年以上も遅れているのではないでしょうか。

　「一生懸命やって上を目指す時代」から「ある程度やれば誰でも楽しめるようなおはなし会ができるように、条件を変える工夫をする時代」になっていけば、皆が今のままで幸せを感じられる世の中になる、と思う。そうすれば、競争し追い立てられ死を選ぶ人も減るかも知れないし、しわ寄せが子どもに行くこともなくなるかも知れない。
　みんな、肩の力を抜こうよ、そのために今までの常識が壊れることがあっても、それはちっとも怖いことじゃないと思うんだけど。勇気を持って高みから降りて、低いところに自分の足で歩いて横に並ぶのが、ボランティアのステップアップではないでしょうか。