(追記再投稿)点の集合構造がプログラム作りにぴったり

集団相手のおはなし会の時は、プログラムを事前に作っていく場合が多いですが、誰が最初に「プログラムのつくり方」について指導したのか、記憶をたどってみます。

20年も前になるでしょうか、東京子ども図書館の「こどもとしょかん」という冊子に、指導がされていたのを記憶しています。もっと昔に何か指導書があったかもしれませんが、図書館講座では、それに基づいて指導していると思います。私が前のページに書いた「基本型」は、それに基づいたものです。
 常々思うのは、この作り方のままでやると、かなり困るところが多数出てくるということです。
 例えば、「時系列に沿って」とか「季節が元に戻らない」とした部分ですが、では、『ふきまんぶく』のように季節が長く設定されているものはどうすればいいのでしょう。確か「主たる季節を見分けて、そこに入れる」と指導されたかと思います。でも、季節の感じ方は、ひとそれぞれ違いますから、夏のはなしとしても、冬のはなしとしても使えると思うのです。 また、一冊の物語であれば主人公は特定されてそれが流れの中心になっていくからいいですが、おはなし会は、全然別の本や主人公が組み合わされています。ですから、時系列に並べること自体が無理なのです。「時系列に合っているか」・・・そんな細部にこだわることを、各団体の「お勉強会」で議論することもあるのでしょうが、これは時間の無駄のように、私には思えます。
 その他に、「メインになる本を決めて、それが引き立つように他の本を並べる」というのも指導されました。でも、私はこの考え方が嫌いでした。確かに子どもに出会って欲しい本というのはありますが、あからさまに本に上下関係を作れということですから、それに関わる人間にも上下関係が生まれます。「お互いに引き立て合う」ならばいいですけどね。そんなことで、図書館の指導そのものに私は疑問を持ってやってきました。

 時代は進んで、絵本の表現構造という論文が『絵本の事典』に出ました。これを読んで、すごく腑に落ちたのですが、プログラムのありようもこれに似ているのです。時系列に沿って並べるというのは、構造理論からいくと「線構造」です。そのほかに時系列に関係のない「点(の集合)構造」というのがあります。例えれば『もこもこもこ』が線構造で、『もけらもけら』が点の集合構造だ、と言えばわかりやすいでしょうか。
 ものの並べ方には、線構造と点構造などがあるということが分かってきました。けれど「こどもとしょかん」に記事が出た当時は「絵本の構造理論」などは出ていませんでした。だから図書館は、権力者の言う通りに「時系列にならべるやり方(線構造)」がよくてそれ以外はダメだ、みたいな教え方をしてしまったのではないでしょうか。今もそうなのではないかと、疑っています。
 今考えると、主人公がバラバラの本を並べるのですから、それぞれの個性を認めて 全体として表現していく「点の集合構造」がプログラムのつくり方にぴったりですね。つまり『もこもこもこ』より『もけらもけら』ですね。
 
 作る人それぞれが工夫してプログラムを作るわけですが、セオリー通りに作って「つまらないプログラム」と言われ、工夫して作って「まとまりのないプログラム」と言われることもあります。これはこの冊子の記事にも書かれていました。けれど、個人の主観的な感想をもとに酷評されるようではのびのびしたおはなし会はできません。そういうところにお客様が来るとは思えないのです。

 図書館の「おはなしのじかん」の平均の参加者が10人を切ったと、統計が出ています。新潟市では30年もやっていますから、たまたまそうなった「誤差」だとは思えません。明らかに、どこかに問題があるのです。あるいは相手のニーズに合っていないのです。図書館は良書だけ宣伝してくれれば構わないのかも知れませんが、家から交通費や時間を作って出てくるボランティアはたまったものではありません。この問題をボランティアが考えることが、一般の利用者の利益に通じると思えてなりません。決して私は「派手好き」で言っているわけではないのです。
 また、図書館の思いに寄り添って自己犠牲を払うのがよいボランティアと、先輩が指導しているような団体はないでしょうか。それは、全体のために個人が犠牲になる人権侵害にあたります。強い言葉で申し訳ないですが、戦争を強いられた兵隊さんのようなものです。ですから、それぞれが自立して、団体内の新人が自由に発言できるように上下関係のない緩やかな関係でやっていくといいなあと思っています。
 

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