神奈川絵美の「えみごのみ」

届かない、冬の青  -イム サエム展-


「絵美さーん、どこのsale会場?って思うほどの、すごい混みようでしたよ」

着物友でもあり、うつわ友達でもあるキモトモTさんが
先週末から始まったある展示会の模様を教えてくれた。

それは……

安南(あんなん)手でとても人気の高い、イム サエムさんの新作展。
澄んだ色といい、温かみのある絵付けといい、
とても独創的で、DMの写真ですら、じーっと見入ってしまうほど。

「日曜の夜にはほぼ完売で、棚はすっからかん。
       でも、また追加で入荷しましたよ」

いてもたってもいられなくて、火曜日のお昼に九段までとんでいった。


この日の装いは……


さっそく締めました! ポインセチア帯。
なす紺の結城は、遠州椿を図案化したもので、
花に花では野暮かしら、とも思うけれど、
まあ、手持ちも少ないし……。
帯揚げは薄いピンク、帯締めは道明の浅黄(うすき)。


これに、「池田リサさんの作風に似ている布で創ったコート」、
略してRISACOを着ていった。


--------------


師走の九段下……

ぱっと見、都内のど真ん中とは思えない風景。


ゆるい坂を上がっていったところに

「暮らしのうつわ 花田」さんがある。


さすがに平日のお昼、
しかも午前中はかなりの雨が降ったので、
お客さんは私のほかに二、三人。ゆっくり見ることができた。
イムさんは在廊しておらず、品数ももう限られていたけれど……。


安南手の土は、ほんの少し赤みを帯びたグレー。
そこに赤や青や、ときに黄色っぽい絵付けが施され、
オリエンタルで素朴なんだけど、イムさんしか表現できない世界がある。


中でも私が惹かれたのは……


店内で慌てて撮ったので、見にくいですが、
ガラス釉薬(と聞いたような…。違っていたら訂正します)の鉢。
透明度の高い灰釉の鉢。
底に色素がガラスのようにたまるのが特徴だそう。
直径18㎝ほど。この写真で見るより実際にはもっと深さがある。

底にたまっている青のガラスと、細かい貫入が
冬の青空を映した早朝の割れ氷を思わせ、

-でも、はて、そんな氷は身近にあるのだろうか-
それはどこか遠い世界のことではないだろうか。

底に指をそっと当ててみても、決して底を触れない。
そんな神秘的で存在感のある青に魅了され、
お持ち帰りすることに……。
どんな料理が合うのか、まだイメージがわかない。
あるいは、しばらく飾って「届かない青」を眺めているのも
いいかも知れない。


イム サエム新作展は12月9日(日)まで。
詳細はコチラ(会期終了後はリンクが外れている可能性があります)。


---------------


さて、この日は夕方から新橋演舞場へ。
菊之助さんの八ッ橋を観てきました!
感想は次回、UPします

コメント一覧

神奈川絵美
風子さんへ
こんにちは
北のどこか深い海峡は、冬にはこんな色になるのかも知れないですね。
ちょっとセンチメンタルな物言いですが、海にしろ空にしろ、手を伸ばしても、目で見える「青さ」には届かないものですよね。

この器も、釉薬が厚い膜を張って青い色素を閉じ込めているので、底を触っても触った気にならないんです。不思議ですよね。
実物はもっとずっとキレイなのですが、写真の限界で、残念です…。
風子
>届かない 冬の青
って、 きれいな深みのある言葉、、、。
私は写真を拝見して、北の凍りついた海を思いました。

ポインセチアの帯は、はなやかなのに 主張し過ぎて
なくて 素敵だなあとpcのこちら側で見ています。
今年も見せていただいて、季節を感じています。
神奈川絵美
straycatさんへ
こんにちは
先日購入した器が、今朝自宅に届いたのですが、
見れば見るほど癒されます
鉢の正式名称は、刻紋果物文盛鉢でしたので、
やはりフルーツとの相性が良さそう。
次の展示はいつになるかわかりませんが、
ぜひぜひ、良かったらDM請求してみてくださいねー
straycat
絵美さま♪

本当に素敵な器ですね。
プリミティブな趣もあるのに洗練されている。
細やかでいて大胆。
私もじかに拝見したいものです。
もう売り切れのようですから、次の新作展を待つしかないのでしょうか?
DMを送っていただくように花田さんにお願いすればいいのですね。
メールでお願いすればいいのかな?
果物、柿なんか盛るとピッタリですね。
何で柿か?は自分でも説明できませんけど
神奈川絵美
たにこのさんへ
こんにちは
昨日は興奮のあまり(笑)花田からメールしちゃって失礼しました。
幸いにも私が九段に着くころには雨も上がり、とても充実したオフタイムを過ごせました。
イムさんの器…この青にひとめぼれしちゃって
うち、人間2人なのに、鉢がいくつあるねん!(万作さんのもあるし)という有様です
この器、確かにフルーツの盛り合わせはとても合いそうですね。サラダもいいですね

ポインセチアの帯を締めると、私もいよいよ年末だなあという気がします。
今日は、勘三郎さんの訃報で一日気持ちが沈んでいましたが、たにこのさんのコメント読んだら元気が出ました。
ありがとう
たにこの
贅沢☆
絵美さーん、九段下の紅葉→イム・サエムさんの個展→菊の付けの八ツ橋って、なんて贅沢な1日なんでしょうっ。

素敵ですね、お求めになった鉢。ほんと、透明感ある色味がたまりませんよね。むしろ、この透明感だからこそ、どんなお料理も受け止めてくれそうな気がします。おでんや角煮からポテトサラダまで...。果物、柿やりんごなんかを盛っても瑞々しさが溢れそうです!
毎年、このポインセチアの帯を目にしないと年末になった気がしないんですよー。それに、やっぱり冬は結城の暖かさに包まれたいですね。
また、今度、器屋めぐり、ご一緒しましょうね☆来年は歌舞伎も是非!
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「美術展・工芸展レポート」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事