神奈川絵美の「えみごのみ」

三溪園で、夏じたく


昨年は、どしゃぶりの雨&季節外れの風邪で、行けなかった。


三溪園(横浜市)の「日本の夏じたく展」。
染色家、久保紀波さんが発起人となり、染織、刺繍、竹、ガラス、陶磁その他
気鋭の作家さんが新作、力作を展示する、この時期恒例のイベントだ。


この日は、十日町の紬を単仕立てにした着物で。
2、3年袖を通していなかった。
遠くからでは白っぽい無地に見えるけれど・・・・・・


こんな風に、モノトーンのランダムな縞に、
意外とポップな色調の絣が入っている。

気温20℃、今にも雨が降りそうだが、
思ったほど蒸す感じがなく、むしろ涼しい。
紬の単はなかなか出番がないけれど、この日はばっちり。快適に過ごせた。

さて、現地で待ち合わせたのは・・・

「シスレー」の生みの親、吉田美保子さん。
お会いするのは、昨年の11月以来かな。


目に涼しい作品の数々・・・・・・
メイン会場は鶴翔閣といって、
その昔、生糸貿易で財をなした実業家、原三溪が住まいにしていた日本家屋。
広さは何と290坪!
着物まわりもたくさん展示されていて、
夏らしいハリ感のある生紬の着尺や、自然布の帯、
透ける麻地に夏草や金魚の刺繍半衿、銀細工の帯留め・・・
できることならここで一式、理想の夏の装いを誂えたいほどだ。


今回、特に印象深かったのが、
折形という、室町時代から続く包みの作法。
作家の辛島綾さんは、昔の文献などから手探りで、包みを復元してきたそう。
写真右は胡椒やきな粉、薬などの、当時の希少品を包むためのもので、
それらが実際に入っているスペースよりも、
飾りの部分が圧倒的に大きい。
写真左はいわゆるポチ袋(左上)なのだが、
長寿のお祝いにはこれ、目上の人に渡すときはこれ、と
お祝いの意味や作法がすべて折形で表されているのだそう。
基本的に、手渡しするものなので、表書きもない。
言葉や文字で語らずに、形で見せる、というところに、
和文化の奥ゆかしさと、美学のようなものを感じた。


さて、ここは別会場。
賑やかなメイン会場を離れて、しんと静かな佇まい。

四国山中に自生している茶葉を手摘みしたという
「ばんばら茶」をいただいた。
(野生のお茶で、ばらばらと生えているので、こう命名されたとのこと)
さっぱりした中にも、草木のすうっとする香りが口に広がる。
もし天気がとても良くて暑かったら、
この熱いお茶はまた違った風味になっていたかも。
ひんやりとした静けさをたたえるこの日のこの景色に、
ほっと心を許す束の間の陽射しを、与えてくれたようだった。


「日本の夏じたく」展は29日(日)まで。
ホームページはこちら
三溪園 290坪の「鶴翔閣」の紹介、間取りはこちら

コメント一覧

神奈川絵美
ルリ子さんへ
こんにちは そうなんですよー早いですね。時間の経つのって。
陰鬱になりがちな梅雨ですが、
この時期ならではの楽しみを見つけて過ごしたいなあ。
ピンクの帯、シンプルなのですが色が可愛くて、気に入っています。
ルリ子
もう一年・・・
http://linaruli.weblogs.jp/
絵美様、

そういえばあれからもう一年ですね。昨年ご一緒しましょうか、と。あの時もお天気が雨で悪かったですよね。  いつか是非行って見たいと思います。 

年々、梅雨も早くなるようで、5月の終わりは微妙なお天気が多いですよね。

ピンクの帯が可愛いですね。白っぽい紬に良くお似合いです!

神奈川絵美
すいれんさんへ
こんにちは 
うふ、大島紬のように軽い肌触りのものや、
ハリがあって風をよく通しそうな紬がいろいろあって、
私も誘惑に打ち克つのがタイヘンでした

すいれんさんも白系、お似合いですよねー
私は今回、着物も帯も膨張色のためかどうか、
妙に胴回りが太く写っているような
神奈川絵美
りらさんへ
こんにちは 私がいただいた「ばんばら茶」も炒ってました! 釜炒りだそうです。
味はそんなにパンチが効いているようには感じませんでしたが、香ばしい枝のような(?)後味が印象的でした。

夏じたく・・・いい響きですよねぇ。着物だけでなく、家の中も模様替えしたいのですが、
何かと慌しくて余裕のないのが残念です。
すいれん
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
ん~、行きたいけれど、明日まででは行かれない。でも、行かれなくて良かった。なぜなら、単衣のきものが欲しいから。見たらよけいに欲しくなりそう。絵美さんのおきものも、涼しやか・・・。夏はやっぱり白っぽい単衣、いいですね~。
りら
夏仕度
良い言葉ですねぇ。
四季の移り変わりを大事に、そして楽しむ日本らしい心だと思います。
冬でも麻の服があったり、一年中Tシャツだったりする地に住んでいると、こういう言葉を聞くとホッとします。

野生のお茶と言えば・・・
昔、母が野生のお茶を摘んできて焙烙で炒って飲ませてもらったのを思い出しました。
調整された飲み慣れたお茶とは違って、ワイルドな味でしたっけ・・・

絵美さんのお姿も、夏仕度の言葉にピッタリ!
すっきりと爽やかですねぇ。
神奈川絵美
Tomokoさんへ
こんにちは おお、呉服の日でしたねー29日、忘れていました。
ここのところ、早くも梅雨寒で、悪天候でもあるし、着るものに困ってしまいますよね。
でも夏じたく展は本当~に見ごたえありますから、どうぞ楽しんで!
Tomoko
昨日行かれて正解だったかもですよ。私は明日に予定してるんですけど、それこそ早すぎる梅雨前線と台風前哨戦で(?)どうなりますやら。呉服の日で着物着たかったんですけど、リネンコートと長靴姿だったりしてね?私も折形に関心アリです~。
神奈川絵美
sognoさんへ
こんにちは 折形、とても趣深かったです。
包みを開けなくても、紙の折り方だけで、
何の目的で何が入っているかわかるようになっていたり、
逆に、扇子などはあえて端が見えるようにして、
相手に過大な期待を持たせないようにしたり
(へりくだるということらしいです)
何というか、こう、
「無駄に語らぬ」美徳を感じました。
神奈川絵美
風子さんへ
こんにちは このイベントは初めてだったのですが、
三溪園という贅沢な空間に、和の品々が溶け込み、映えて、
一つの別世界を創りだしているようでした。

単の紬って、こちらではなかなか出番がないのですが、
この日はとても心地よかったです
sogno
絵美さん、おはようございます。
素敵な催し物に行かれたんですね!
私、折形というものに強く惹かれました。
(仕事で折り紙に苦戦しているので・・)
包み方とその意味・・興味深いです。
絵美さんの装いも爽やかですね!!
風子
http://blog.livedoor.jp/fuko346/
こんばんは。

そちらはまだ雨が降っていなかったのですね。
今日は単紬が心地よい気温でした、そういうのって珍しいかも、、、です。

この展示会、いつか行きたいなあと思っています。
絵美さんのブログを読むと、素敵なものを素敵な空間で拝見できそうなことがよくわかります。
あれ、以前も同じようなことを言っていたような気がしてきました。笑
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