着物を着ていった私だが、
ここだけは、はなから無理とあきらめていた。
その場所とは…
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見本市。
ここの空気は独特だ。
何十もの出展企業が、新製品や売れ筋の品などをブースに並べ、
入場者に案内するという、
一見、「コミケ」や「フリマ」と同じような形態だが
(もっとも私はコミケ未体験だけど)
少しでも見込みがあれば大きなビジネスにもっていこうと、
出展側も入場者側もなんだかギラギラしている。
私の場合、報道のパスをもらったり、
医療関係者(マスコミということで)であることがわかるカードを下げて
入場するのだが、
それでも相手にリサーチ目的だとわかると、
何だか適当にあしらわれるような。
世の中不景気だし、みな必死なのだ。
そんな場に、着物なんてとても…と思っていたが、
この日のテーマは「統合医療」。
ハーブやアロマ、ホメオパシー、サプリメントといった
保険適用外の医療に関わる商材や、クリニックの展示ということで
一般的な医療関係よりも、受け入れられやすいかなあと思い…。
チャレンジしてみた。
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大島に小鳥帯で。
(注:この日は2月中旬の異様に暖かかった日)
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お太鼓は少しいびつだけど、
この日はずっと羽織の下だったのでよしとしよう。
果たして…なかなか意外な展開に。
というのも、服装が服装だけに、出展者と目が合いやすいのだ。
会場には資料や試食品などを配るキャンペーンガールや、
その企業の営業さんが通路に結構な人数立っている。
洋服だと、少し混んでいれば個別に声をかけられることなく、
素通りもできるのに、
着物だと、あちらからもこちらからも「どうぞ~」と資料を差し出されたり、
試食品を渡してくれたりするのだ。
ちなみに、この日は介護関係の展示も併設されていたので
試食品は、いわゆる「やわらか食」がたくさん。
やわらかい煮物、やわらかい食パン、やわらかい和菓子…。
和菓子の出展社などは、「たくさん食べていってくださいよ」
「緑茶もどうぞ」などと、やけに厚遇だった
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どうしてだろう。
着物=何だかよくわからないが、もしかしてどこかの社長かも
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とでも思われているのだろうか。
それとも、単に目立つので見ていたら、私と目が合ったので、
何か渡さないと…という気持ちになるのだろうか。
でもまあ、みなぎょっとするとか、妙なものを見るという感じはまったくなく
むしろ逆で、わぁ着物いいですね、くらいのプラスの視線だったのでよかった。
何社かからは褒められたりもしたし…。
帰りには、
(何だ、ビジネスの場こそ「着物」が目立っていいんじゃないか)と
思うまでに(単純…
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みな同じようなスーツ姿で見分けのつかない男性諸君に、教えてあげたいな。