雑誌の校了、新しい書籍の制作スタート……と
慌ただしい日々を過ごしていた。
しばらく着物も着ていないので、
息抜きに、都心にでもぶらり出かけようかな、と
特にあてもなく思っていたら、
友達から根津美術館でのレクチャーの情報をいただいた。
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展示のメインは、眺めているだけで涼風が吹いてきそうな
水や風、夏の生物をテーマにした水墨画や陶器なのだが、
同時開催で、12世紀~18世紀にわたるいろいろな
「昔の手紙」が展示されており、
この日、根津美術館の学芸部長が、書の鑑賞の仕方や展示作品について
トークをするという。
ちょうどいい、お出かけの目的ができた! というワケで。
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こんなコーデで、青山まで。
越後ちぢみの着物(証紙はありませんが)に、近江麻の八寸は
今までに合わせた記憶がない。
帯の渋みが、30代後半時の私にはやや、使いにくいものになっていたが、
40代後半になった今、“すんなり”合わせられるようになった気が。
今回のこだわりは「帯飾り」(写真右)。
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写真ではピンク味が強くなってしまったが、実物はニュートラルな深い赤だ。
まだ日中は、秋の片鱗も感じられない猛暑だけれど、
夜になれば虫の声も聞こえてくるし、
少し、秋を思わせるアイテムを入れたかった。
これは独りよがりな感覚だが、
写真左の「柿」になってしまうと、さすがに季節が早すぎるし、
空気がもっと“ひなびて”こないと、この橙はマッチしない、と思っている。
着物も帯も、科布の草履もバッグも
帯揚げ、帯締めに至るまでまだ
盛夏仕様だけど、
ほんのひと差しで、秋をぐっと手の中に引き寄せる。
お出かけの記録は次回、アップします。