神奈川絵美の「えみごのみ」

七月花形歌舞伎 昼の部


幕間で紹介された緞帳の一張り、「夕顔図」。
安土桃山時代の絵を元図に、織られたそう。
夕方に咲く白い花と、たわわに下がった実(瓢箪と同一種)が、
夏の風情を醸し出す。


土曜日の歌舞伎座。
気軽な席にも着物姿がたくさんで、開演前からワクワクと、眼の保養に
しかも絽などの柔らかものをお召しで、御髪もキレイに整えた方が
多かったです。着物ってやはり華がありますね。


演目は「通し狂言 加賀見山再岩藤」。
岩藤とは、とある藩(題名通り、加賀をモデルにしたといわれている)の
局の名前で、かつてお家乗っ取りを企んだものの、忠義篤い召使に討たれ、
野ざらしにされた、という経緯がある。
その捨て置かれた骨が、暗転した舞台の中、繋ぎ合わさって
人の形になり、岩藤の亡霊が現れるという場面が大きな見せ場の一つ。

何でも、澤瀉屋さんの上演が有名で、
今回チケットを譲ってくださった友達いわく
「(旧)亀治郎さん演じる岩藤はケレン味があって……」
とのことだったが(そして、歌舞伎ビギナーの私にもそれは比較的容易に
想像できたが)、
今回は花形歌舞伎。松緑さん演じる岩藤はあまり毒々しくなく、
丁寧だなーという印象を受けた。

個人的に文句なしの見どころは、中村壱太郎さん演じる梅の方。
(舞台となる藩の正室)
出番は短かったが、とにかく美しくて、
私はオペラグラスが手放せなかった
菊之助さんも二役で出ていて、もちろんキレイだったけれど、
今回ばかりは、“薄幸さ”や“頼りなさ”がにじみ出ていた壱太郎さんに
心を持っていかれた。

この演目、染五郎さんやらぶりんも出ていて、
また、中村松江さんの長男、玉太郎くんが盲目の子役を長丁場、見事に
演じ切るなど、花形の名に相応しい顔ぶれでしたが、
舞台そのものは、やや淡々と進んでいった感がありました。
松緑さんがいい人過ぎるのかなー。

機会あれば、澤瀉屋さんの岩藤も観てみたいな。



※加賀見山再岩藤の見所やあらすじはコチラを参考に。

コメント一覧

神奈川絵美
Medalogさんへ
こんにちは
私も正確には知らなくて……。
でも、休憩時間中、席を外して戻ってきたら、
上の「夕顔図」の緞帳が下がっていまして、
数分経ってから「緞帳の紹介をします」というアナウンスとともに、
ほかの富士山や水辺の四季等の緞帳が次々に下りてきましたので、
幕間の緞帳は時期ごとに替わるのかな、と思います

私、普段、土日に歌舞伎ってほとんどなくて、
今回、土曜日の歌舞伎座は着物率高いんだなーと
感心しました。
Medalog
もしかしたら緞帳は季節ごとに変わるのでしょうか?
(他の劇場はどうなのでしょう?考えたこともありませんでした)

この暑い季節に髪まできちんと整えて着物を着こなし歌舞伎鑑賞なさるなんて、本当におしゃれな方々がたくさんいらっしゃるんですね。
目の保養をなさって羨ましいですが、きっと絵美さんのお着物姿も他の皆様の目を楽しませたことと思います。
演者の方も客席の着物姿が見えるそうですし、みんなで舞台を盛り上げる感じで素敵ですよね。
神奈川絵美
すずらんさんへ
いえいえー、わざわざありがとうございます。
(実は、すずらさんさんか香子さんかなーって
思っていました
歌舞伎通の大先輩にコメントいただけて、嬉しいです
神奈川絵美
りらさんへ
こんにちは
そうなんです、前回のエントリーの着物で行きました。
蒸し暑い日でしたが、お着物姿の方がたくさんいらして
眼福でしたー

ビギナーの私が言うのはおこがましいですが、
松緑さん、特に昨年あたりからとてもがんばっていらっしゃると思います。またいろんな演目で拝見したいです。
神奈川絵美
香子さんへ
その節はありがとうございました
そう!「旧錦絵」を観てみたいなーと思いましたよ。
そうすれば「岩藤」での、草履で打ちすえる場面も、より心に迫ってくるのかな、なんて。

松緑さんの岩藤は、すずらんさんがお書きになられているように上品で、満開の桜の上をふわふわする場面は
美しく幻想的でした。草履打ちすえも、優しかったなー
すずらん
すみません。
先の沢瀉屋型のコメントは私でした。
記名忘れ、大変失礼いたしました。
りら
一つ前のアップがこの日のお着物だったのですね~。
連日酷暑のニュースを見て、お着物好きな方たちは大変だ!と思っていましたが、さすが!
本当に夏らしい、涼しげで素敵な取り合わせですねぇ。

「骨寄せ岩藤」、確か観たよなぁ・・・という記憶はあるのですが、それだけで・・・
松緑は好きな役者ですので、観てみたかったです~。
香子
いろいろ数を観たいですよね~。
ワタシなどは、まずは「加賀見山旧錦絵」を観て
それからノーマルな「加賀見山再岩藤」を観て
そして沢瀉屋の「加賀見山再岩藤」を観たいと
思ってますが、なかなか思い通りに行きません

神奈川絵美
こんにちは
早速のコメント、ありがとうございます
私、まだまだ数少ない歌舞伎鑑賞歴ですが
怪談ものはちょっとオーバーな位の方が、
非日常感が味わえて好きかなーと思っています。
今回、バラバラの骨が集まってきて…のところは
なかなか面白かったですが、
どうも松緑さんの二役のもう一方(又助)の
いい人っぷりがちらついてしまい

ただ、そう思う一方で、
単に怖い亡霊が悪さするそのインパクトだけが
全面に出るのではなく、
又助の悲劇のストーリーが丁寧に描かれており、
話の全体像が理解しやすかったのは良かったです。

いつか、沢瀉屋型も観てみたいです…
Unknown
沢瀉屋型
沢瀉屋さんの岩藤はもっと俗っぽいというか
マンガちっくでケレン味たっぷりです。
宙乗り(ふわふわ)も沢瀉屋は花道上を行きます。
松緑さんのように舞台上を行くのは、戦後先代勘三郎が始めたことだそうです。
見比べてみると、たしかに松緑さんの岩藤は上品ですね。
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