小生お気に入りの噺家の中でも指折りの・・・という中の一人が桂米團治だ。今年還暦を迎えるというが、形がよくて声がよい・・・しかも上品なオーラがある。ただ、彼は上方落語ということで、東京で聞くことのできるシーンは多くない。
ということで、東京で開催される独演会は貴重であり、毎回時間が合う限り出かけている。この会、会場が銀座ブロッサムという巨大な入れ物なのが残念だが、いたしかたない。
とはいえ、今回は前から三列目というすばらしい席になったので聞きやすかったが・・・さてそんなことを言っているうちに開演時間になった。
この会はというか、米團治が師匠であり父でもある米朝から、「独演会では三席はやらんとお客さんに失礼や」と言われていた由で、毎回三席やってくれるのが嬉しい。
さて、開口一番は弟子の慶治朗。前にも聞いたことがあるがすっきりした感じで好感が持てる。名前からして慶應の出身? かと思いきや、本名に慶が入るらしい。
入門が平成24年というから、6年目・・・東京でいえば二ツ目クラスか。確かに、腕前からいえば、前座レベルではないなあ・・・と睡魔にも襲われない腕前に感心。
ネタは「みかん屋」という・・・初めて聞いたが、江戸の「かぼちゃ屋」の上方版だ。なかなか楽しめたところで、米團治の登場。
相変わらず趣味のいい高座着だ。さて、一席目はネタ出ししていないが・・・何をと思っていたところ、始めたのが「七段目」だった。
ストーリーは江戸版と同じだが、演出が派手目になるのは上方版ならではか・・・とはいえ、米團治の品のよさとか、華みたいなものは自ずと染み出てくる。
五段目の一人芝居には笑ってしまったぞ。満足したところで、ざこばの弟子のひろばが登場。始めたのが「化け物寺」という・・・
初めて聞く噺であるが、失礼ながら途中で意識を失ってしまった・・・さて、気を取り直して米團治の二席目だ。
今度はネタ出しの「花筏」だ。ストーリーは江戸のそれと同一なので、なじみ深い。一か所だけ、言い間違いがあったが、おそらくほとんどのお客様には気が付かないだろうという・・・わずかなもの。
それよりも、江戸版で感じていた不自然なくだりを上手に消化していたことが目についた。もし、自分でやるなら、これがいいかな・・・と。
そしてここで中入り・・・ちなみに今回も米團治プロデュースのカレーを売っていたので、また買い込んでしまったが・・・(苦笑)
中入り後、三席目の米團治の登場。一席目、二席目と髪型を変えてきたが、それに何人の人が気が付いたことだろう。そして、その理由もネタとは関係ないところにあると、一席目に気になっていた小生であるが・・・
さてさて、今度のネタは「天王寺詣り」だ。こちらは江戸にはないネタで、大坂の四天王寺を舞台にしたもの。
本人曰く実質ネタおろしという。初めて聞く噺だが、内容的には四天王寺のガイドツアーみたいなもので、ジャンル的には地噺に近いかも。
この噺を聞くと、四天王寺を見に行きたくなったりする・・・今年行こうかしらん・・・なんて。ともあれネタおろしと言えども、そこは米團治のこと、しっかりしたもので、たっぷり楽しませていただいた。
次回はまた同じ会場で6月にやるという。また行くことになりそうだ。
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