理由はその地形。高い山こそ少ないものの起伏が激しく、町があるところ以外はすべて山と言って良いでしょう。
東側は観光地として栄えており鉄道もあるのでまだしもですが、西側はまさしく何もありません。なにせ西側の海岸を走る道路が整備されたのが第二次世界大戦後で、それまでは船しか交通手段がなかったといいますから半端じゃない僻地っぷりです。・・・ですが、それゆえに交通量が少ないので走りやすいともいえます。
今日のお目当ては西伊豆スカイライン。西伊豆にある山の稜線を走る道で、標高はそれほど高くありませんが、どういうわけだか木が少なく眺めが良いことで知られます。
今日のスタート地点は函南駅。中伊豆・西伊豆に行くのに大変便利な駅です。距離もさることながら、三島や沼津より標高が少しだけ高いのがポイント。ここからまずは修善寺を目指します。
修善寺で西に折れると一気に山深くなってきました。先週と比べだいぶ涼しいとはいえ、登りに入るとさすがに暑いのでオーバーヒートしないようにノンビリペースで登っていきます。毎回そうだとろか言ってはいけない。
まず第一目標は戸田峠の手前にある達磨山レストハウス。目的は休憩だけではありません。
達磨山レストハウスからは駿河湾をまたいだ向こうに富士山を望めます。富士山は天気に左右されやすいというか雲で隠れることが多い山ですが、今日はご覧の通りのド迫力。涼しいからでしょうか、綿のような夏の雲ではなく秋の風情があります。雲ひとつない青空も良いですが、ほどほどに雲があると違った雰囲気が出て良いですね。
ここ標高はだいたい600mほど。西伊豆スカイラインまではもう少し登る必要があるので、一休みして再び登りはじめます。
戸田峠を経て西伊豆スカイラインに入ると、徐々に視界が開けてきました。
渋峠やビーナスラインでも同じことですが、山の中なのに樹木がない、というのが絶景スポットの条件。ここ西伊豆スカイラインはまさにその条件を満たします。この道は一番高いところでも標高1000mに足りません。森林限界には程遠いと思うのですが、なぜにここまで樹木がないのでしょうね。
何はともあれ、視界の広さはご覧の通り。今日は青空にも恵まれベストコンディションに近いのでは。
西伊豆スカイラインは戸田峠から土肥峠までの10km程度の道ですが、土肥峠から仁科峠まで道なりに続く西天城高原道路も景色の良い快走路です。せっかくここまできたら両方走ってしまうのがオススメです。
仁科峠から松崎へのダウンヒル。一気に道が狭く、そして視界も悪い普通の山道になります。
ダウンヒルの途中にある森のカフェリトルハートでお昼。このお店は冷房がないので猛暑の日はオススメできないかもですが、割と涼しい今日は快適でした。
こんな人里はなれたところで商売になるのだろうか?と心配になるロケーションですが、自転車乗り的には貴重な補給ポイントともいえます。
店内は床が痛むためビンディングシューズ禁止で、スリッパを借りて入店。
カフェなので食事のメニューは豊富ではありませんが、パスタは十分美味かったです。確かベーグルなんかもあったので、飯時でなくても休憩にうってつけのお店でしょう。
お昼を済ませ、ダウンヒル再開。程なく海沿いの道に出ます。
海岸沿いというとなんとなく平坦なイメージがありますが、伊豆半島はそんなに甘くありません。細かいアップダウンと細かくないアップダウンが繰り返し。しかし海は三浦半島辺りとは比べ物にならないほどキレイです。
伊豆半島最南端に程近いユウスゲ公園に立ち寄ってみました。もう少し陽が傾くと夕暮れの風景が美しいのでしょうね。
本日最後のスポット、石廊崎にやってきました。自転車で入れるのはここまでで、この先は押して歩くことになります。
しかしけっこう距離がある上にアップダウンも激しい。このあたりから階段もあり、自転車置いてくればよかったと後悔し始めました。
それでも意地で押し歩きしていましたが、さすがにこの先は無理っぽいのでここに置いていくことにしました。石廊崎はすぐ目の前です。
そしてこれが石廊崎!伊豆半島の先っぽです。太平洋に突き出た場所なだけに風が強いのですが、それでも今日は割りと穏やかだったようで波頭もあまりたっていません。
それでもやっぱりこの荒波、外洋の力強さですね。
それにしてもここまで遠かった・・・やはり伊豆半島はでかいです。
西伊豆スカイラインの景色は素晴らしいですが、長野や日光の名所に及ばないのも事実です。一方で、伊豆の強みは海の近さ。今日のように、山と海の両方を走る計画が容易に組めます。
鉄道だと東京から函南まで二時間以上・下田までは三時間以上かかるため気軽に行ける場所ではないのも確か。神奈川県民ならばいざ知らず、埼玉や千葉からだと宿泊も考えなければならず、ハードルは大いに上がります。
それでも一度は行ってみて損はないスポットだと思います。人も車も少ない道で景色を独り占め、これはなかなか味わえない贅沢ですから。
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