どこか遠くでフッチボル

鹿島サポだが裏の顔は日本代表サポ組織「食う軍」の司令。徒然なるままボソボソと。

田んぼドライバー講習/入門編

2005-05-03 | etc
ゴールデンウィークと言えば旅行?
いえいえ、今時のナウい若者は、田んぼで田植えと決まってますよね!
しかし未体験の方は、いざ田んぼを目の前にすると、緊張で足が震えるものです。
そこで、一般サラリーマンの家系に生まれながら、田植え暦が30年を越えると言うベテランタウヤーkawakeroさんに、コツを教えていただきましょう。
では、kawakeroさんどうぞ!


<タウヤーkawakero>
サラリーマンの家系ながら、kawakero一族は代々米を作ってきました。
なぜか?
それは近所が農家ばかりで、米くらい作らないとコミュニケーションをとるのが難しいからなのです。
一族が食べる米を、ほぼ趣味の範囲で作ってしまう。
正に、趣味が仕事を圧迫する状況が続いていたといってもいいでしょう。
話がそれました・・・。

まず、田植えと言えば早起きです。
5時には起き、6時前後には田んぼにいるくらいでなければいけません。
農家の朝は早いのです。
前夜田植え用の短パンやパーカーを準備し、着替えも枕元に置きます。
目覚ましで起きるや否や田植えファッションにチェンジ。
実家まで車で30分程かかる道を、のんびり走らせます。
なぜのんびりか?
それは、遅れて着いたらその間にちょっとは作業がはかどって、自分が楽になるからです。
しかし、15分遅れで着いた今朝は、タウヤーの先輩オヤジは、新聞読みながらお茶すすってました。

チッ。

朝食が準備されていたので、軽めに済ませます。
田植えはハードスポーツですので、満腹状態での突入は大変危険です。
しかし食べなければ動けない・・・この兼ね合いから勝負は始まっているのです。

タウヤーファッションの定番、パーカー&短パンに加え、帽子・ゴム地下足袋を装着、タオルを首に巻きます。
これで田んぼはもう怖くありません。
昼間の天気予報は快晴で暑くなるらしいですが、早朝の空気は冷え込み、Tシャツでの田んぼは死を意味しますのでご注意を。

作業開始。


まず、自宅の庭に設置されたビニールハウスの中でぬくぬくと育った苗を軽トラに積み込みます。
この苗は、1月ほど前に種を蒔き、この日の田植えに備えて育てられたもの。
苗の長さは長すぎず、それでいて短か過ぎてもいけません。
頃合を見るのは初心者の方では難しいので、近所のおじさんにコーチを願う事をお薦めします。

さて、軽トラに積み込みが終れば聖地、田んぼに向かいます。
田んぼに向かう途中、必ずと言っていいほど、近所のおじさん達で、既に田んぼに来ている人達とすれ違います。
この時、初心者なら何もせずに通過するところですが、それは間違い。
ここである約束事があるのです。
懸命な受講者諸君にはお分かりでしょう・・・そう、挨拶!
「おはようございます。」
これは、一般生活では正しいですが、タウヤーの世界では間違いです。
正式な挨拶をお教えしますので、よく覚えてください。

「いい苗だなぁ!」

そう、相手の苗の素晴らしさを褒め称えます。
謙遜を尊う、日本人の素晴らしさですね。
例え、相手の苗が田の水から顔を出せないほど短めの失敗作だとしても、挨拶はこれしかありません。

では、私の後について口に出してみてください。

「いい苗だなぁ!」

ハイ!

(・・・・・・)

素晴らしい発音ですね!
この挨拶は本当に大事ですので、忘れずに使うようにしてください。


田に到着すると、「イセキ社製2畳植え田植機さなえ」通称サナエちゃんは、既に準備万端!
オヤジが朝飯前に、サナエちゃんだけ田んぼに連れてきていたようです。
このサナエちゃん、5年ほど前にkawakero家に到着。
以後、毎年春になると大活躍をする、正に女神様。
調子が悪いと聞いていたので、今日のご機嫌が気になるところだったのだが・・・。

今回の講義で大事なところに入ります。
田んぼドライバーになる為の必須科目、田植え機の運転方法です。
タウヤーを目指す方にとって必ず訪れる試練。それが田植え機です。
では、サナエちゃんにご協力をいただき、操作方法の説明に入りたいと思います。


(モデル:kawakero)
田植え機のエンジンを掛けるには、セルモーターなどはありません。
サナエちゃん機種前方に、取っ手が着いたパーツが見えます。
その取っ手にはロープが出ていて、エンジンのホイールに括り付けられているので、これを思い切り引けばOKです。
一度では掛かりませんし、全身の体重をロープに掛けて一気に引かねばなりません。
掛かりにくい場合は、チョークスイッチも着いているので併用ください。
エンジンは以外に簡単に掛かる事に驚くと思います。

さて、エンジンが掛かりましたら、苗を積み込みましょう。
軽トラに積み込んできた苗は、樹脂製のケースに収まっていますので、そのままでは田植え機には積み込み出来ません。


樹脂製の苗ケースですが、下部に細かい穴がついていて、水はけをよくしているのですが、この穴から苗の根が張り出していて、簡単には剥がせません。
このケースと苗を引き剥がすのが、苗切りのプレートです。

やってみましょう。


まずケースの端に手をいれ、苗の端をちょっと浮かせます。


隙間がちょっと出来たら、その間に苗切りプレートを差込ます。
ケースの反対の端を足で押さえ、体重を乗せて一気にプレートを押し込むと・・・グッと言う感覚とともに、プレートが一気にケースと苗を引き剥がします。

気持ちがいいですね~♪


苗を引き剥がす事が出来たら、田植え機に積み込みましょう。
サナエちゃんは2畳植え、つまり一度に植えられるのは2列のみです。
現代のタウヤーで2畳上を使う人は少ないと思いますが、kawakero家はあくまでも“趣味”に近いので問題はありません。
2枚の苗をセット完了したらいよいよ田んぼに入りましょう。

田んぼに足を踏み入れると、その土の粘り気、そして冷たさに驚くのではないでしょうか。
じわりと入らず、一気に入る事をお薦めします。

ではサナエちゃんの操作方法、入門編をお教えしましょう。
これが“田んぼドライバー”への第一歩となる事を確信しています。


基本ポジションは両手のグリップをしっかりと握る。
背筋を伸ばし、遠くを見るような気持ちで立ちましょう。
自分が中田ヒデになったと思うといいポジションが取れるかもしれません。


写真右上がアクセル。
アクセルは、通常親指で操作します。
微妙な加減が必要なときは人差し指と親指で軽くはさみ操作しましょう。
両グリップの下にあるのがクラッチ。
田植え機は2輪ですが、このクラッチはそれぞれの側の車輪のクラッチになっています。
方向転換や急な停止時にこのクラッチを操作しましょう。
右に曲がりたい時には右のクラッチを、左なら左、急停止は両方のクラッチを切ります。

真ん中に4つあるレバーで、主に操作するのは真ん中の2つです。
その真ん中の2つの右側が植え付けレバー。
このレバーを上げると、苗の植え付けが始まります。
一方の左のレバーを上げると、前進が始まります。
クラッチとの併用で、田植え機を自在に扱いましょう!

具体的に操作してみましょう。
エンジンが掛かった状態なら、アクセルを操作して、吹かし過ぎないように設定。
その状態で、まず前進レバーを上げます。
急に発進すると思いますが、この時パニックにならないように。
落ち着いて、両方のクラッチを操作しながら、苗を植える位置に田植え機を誘導しましょう。
そして、ここだと言う位置に来た時、迷わず植え付けレバーを上げます。
ガタンガタンと言う音とともに、苗を植える動作が始まったことでしょう。
後は簡単。
田植え機が蛇行しないよう心持遠くを見つめ、そして普段考える事が出来ない悩みなどを考えるとモアベターですね。


直進は何とかなると思います。
問題は田んぼの反対まで行った折り返し地点です。
緊張のターンですが、過度な緊張をせぬよう少し息を吐いてください。
田んぼの端、2mの位置に来たら、素早く植え付けレバーを下ろしてください。
この状態になったら後は田植え機のターンです。
アクセルはそのままに、左ターンなら一気に左クラッチを切りましょう。
思わぬ力強さで田植え機がターンを始めるので、置いていかれないよう注意ください。
このターンは、次の植え付けポイントに来るまで続け、ポイントに来たらクラッチを戻して素早く植え付けレバーも下ろす。
ターンが始まってから、次の植え付けポイントまでの動作は、およそ3秒半です。
最大の試練はターンにあると言っても過言ではないでしょう。
受講者の皆さんは、この一点を理解して努力していただきたいと思います。


田植えが終わりました。
仕上げに“あぜ紙”を設置します。
このあぜ紙は、田んぼの高低差による水位の違いを矯正します。
kawakero家の田んぼは、写真下が土地が高く水位が低目、上は水位が高目となっています。
あぜ紙で仕切って、水を下側の田んぼに多く入れる事で、苗の格差をなくそうとする方法です。
是非取り入れてみましょう。


以上、田んぼドライバーへの入門編を終了したいと思います。
長時間の講義、拝聴大変ありがとうございました。

(パチパチパチパチ)



(モデル:kawakero)

あこがれのドライバーへ。
来年の春、あなたの姿も田んぼにあるのかもしれませんよ!?


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          田んぼで見つけた生き物達。


トノサマガエルの卵です。


土の中にもぐるオケラ。いたずらすると何かが起こる?


あまり出会いたくないヒルです。肌につくと血を吸われます。