ヒトはアフリカで生まれて、世界各国に広がった事が現在では一般に知られている。
ではなぜそのような事が分かったのでしょうか。
最近、DNAという言葉をよく聞くと思いますが、DNAとは遺伝情報を子孫に伝える大切
な働きをしています。
そしてヒトはDNAを二つ持っています。
細胞の中に存在して本体の遺伝をコントロールしているDNAと、細胞の中でエネルギーを
つくる小器官、ミトコンドリア内に存在しているミトコンドリアDNAがあります。
そしてこのミトコンドリアDNAは、母親の遺伝子のみが子に伝わります。
そのためミトコンドリアDNAで人類の祖先をたどっていくと、数十万年前のアフリカの女性に
行き着き、その一人の女性を「ミトコンドリア・イブ」と呼んでいます。
なぜ、ミトコンドリアDNAは、母親の遺伝子のみが子に伝わるのか。
次のような学説を群馬大の佐藤健教授と妻の美由紀助教(細胞生物学)が、米科学誌
サイエンス(電子版)に発表しました。
母親のミトコンドリアの遺伝子のみが子に伝わる母性遺伝をするのは、受精卵の中で「自食」
と呼ばれる作用が起き、父親のミトコンドリアを分解する。
自食は細胞が飢餓状態になったときに自らの一部を分解して栄養源に使う場合などに起こる。
なぜ父親のものが排除されるのか、佐藤教授は「精子は運動量が多く、受精時にミトコンドリア
が傷んでいる可能性がある。これを次世代に受け継ぐと良くないのかもしれない」と話している。
佐藤教授らは、実験用生物である線虫のミトコンドリアを着色し、受精卵を調べた。
精子由来のもののみが受精直後に特殊な膜に包まれ、酵素によって徐々に分解される様子が
観察された。卵子のミトコンドリアは残っていた。
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