◆秋の夕方、南の空に現れる星座で、水ガメを肩にかついだ少年の姿をしています。暗い星ばかりですが、水ガメの部分に4つの四等星が「三ツ矢マーク」の形にならんでいるのがわかります。水ガメから流れ出た水は南の地平線へ落ちていき、「南の魚座」の魚の口に流れこんでいます。その魚の口に輝くのが、秋の星空でただ1つの一等星フォーマルハウトです。秋の夜空は明るい星がめっきり減ってさびしいものですが、この星が南の空にポツンと輝いているので、日本では「南の一つ星」「秋の一つ星」と呼ばれました。また中国では「北落師門」、西洋では「ロイヤルスター」と呼ばれ、昔から大切な星とされました。この一等星を目印に、北(上)にたどれば水瓶座は簡単に見つかります。
◆ギリシア神話では、トロイの王子ガニメデスはたいへん美しい少年でした。オリンポスの神殿では毎日のように宴会があって、神々の王ゼウスの娘がみんなの食事の世話をしていました。ところが彼女が結婚したために代わりの者を探すことになりました。ある日、天上から下界をながめていたゼウスが、トロイの国で羊の番をしているガニメデスを見つけました。さっそくゼウスはワシに変身して彼をさらってしまいます。となりの鷲座がゼウスの変身したワシです。それ以来、ガニメデスは水ガメで神々の給仕をすることになりました。この水ガメには英知の源となる酒が入っています。ゼウスは、息子をなくした両親をなぐさめるためにガニメデスを天に上げて星座にしたといわれています。
◆三ツ矢マークの右手に明るい球状星団M2があります。付近に明るい星がないので、条件が良ければ双眼鏡でもぼんやり見えます。その他にもこのあたりには土星状星雲NGC7009や惑星状星雲NGC7293などが見られます。