◆現代は火星や木星、さらに光の速度で1時間もかかる土星まで探査機が送り込まれる時代です。アメリカ火星協会は10年後には火星に人類が降り立つと発表しているし、NASAは30年後には月旅行が可能と言っています。日本でもロケット協会が観光用ロケット、清水建設が宇宙ホテルを計画しています。この様子では太陽系旅行も遠い夢ではなさそうです。将来どこかの旅行会社が惑星ツアーを企画すれば、地球の観光地に飽きた団体客が押しかけることでしょう。
◆時は西暦21××年、関西空港を飛び立ったスペースプレーンは1時間あまりで赤道上空の宇宙ステーションに到着します。ここにはビジネスホテルや火星の石が並んだ免税店がありますし、正月にはここから初日の出を見て新年を迎えるのがちょっとしたブームです。宇宙港には核融合ロケットや最新鋭の反物質ロケットが停泊していますが、これらは月を経由して惑星へ行く定期便や貨物便です。直接地上から宇宙空間に飛び出すには地球の引力をふり切らなければならず、多くの燃料が必要です。現在のロケットは総重量の9割が推進剤という非常に効率の悪い乗物ですので、宇宙ステーションで大型の宇宙船に乗り換えた方がはるかに経済的です。
◆週末は、重力が地球の6分の1しかない月面カントリークラブでゴルフをしたり、月面車でクレーター見物が手頃です。アポロ飛行士は月から見る地球は感動的だと言っていましたので、ぜひ地球をバックに記念写真を撮りましょう。月面には惑星連絡船の中継港、宇宙工場、宇宙鉱山などがあります。月の表土にはロケット燃料のヘリウム3やセメントの材料が豊富にありますし、わずかに水分も含まれています。
◆太陽に最も近い惑星、水星に向かいます。無数のクレーターにおおわれた表面は月とそっくりです。昼と夜の温度差は600度もあり、この暑さのため水も空気もありません。この星では朝がきて、次の朝がくるまでが176日もあり、その間に太陽を2周(地球の2年)するという何とも不思議な世界です。金星は厚い大気におおわれ、太陽の光をほとんど反射するので地球からは非常に明るく見える星です。女神ビーナスの別名を持つ金星は地球と似た条件で生まれました。しかし現在は、濃硫酸の雨が降る灼熱(470度)、超高圧 (90気圧) の恐ろしい環境ですので、着陸すれば宇宙船はペシャンコです。
◆赤い星、火星は地球によく似た惑星で1日は約24時間、四季の変化や地球の3分の1程度の重力、そして酸素や水、適度な温度もあります。地形も地球に似ていて太陽系最大のオリンポス火山(高さ26000m)やマリネリス峡谷(長さ6千㎞)があります。極地のドライアイス雪原(極冠)ではスキーができそうなので、アウトドア派にはお勧めでしょう。この時代には太陽系最大の宇宙都市(コロニー)が完成しています。