鮎釣り界の帝王 村田満さんがお亡くなりになられたそうです。

　自分は幼い頃から釣りが好きで、あらゆる釣りに手を出しましたが、近くに釣り好きの人も師もおらず、釣りクラブに入る機会もなく、全部独学。「釣りキチ三平」のコミックを読みふけっては、多分こんな感じ？というみたいにしてチャレンジしてきました。
　友釣りは「これは是非やってみたい」と当時持っていた一番堅い鯉竿の5.4ｍの竿の穂先を半分に折って、ハエ用のズックビクと市販の鮎釣り仕掛け1組と「釣りキチ三平」のコミックを自転車に積んで、自転車を必死に漕いで山の中の鮎釣り場へ飛び込んだのが一番最初。その後もああじゃないかこうじゃないかと手探りで楽しんでいたぐらいだったのを本気にさせたのが帝王村田満さんの本でした。
　この本を読んで、友釣りのノウハウを知り、知れば知るほどその魅力に惹かれていき、のめり込んでいったものです。誰も師がいない自分には、この村田満さんの本だけが師でした。
　修行の年を重ね、ようやくそれなりに友釣りができるようになったとき「是非、会ってみたい。」と思いました。そしてそのチャンスがやってきました。ある釣り具屋さんが「鮎の友釣り講習会」を錦川は錦町で開催し、その講師が村田の満さん。即、申し込んで車を走らせて行きました。
　やっぱり帝王、体中から強烈なオーラが出てる感じ、鮎竿を持たせたらぴたっと止まる釣り姿。近寄りがたかったけど、全くの初心者を装って初歩的な質問をわざとすることで会話することができました。鮎のことを語り出すと呼吸をするのを忘れてるのでは？と思う勢いでしゃべりが止まらない。やっぱりいろんな意味ですごい人でした。
　トーナメントに掛ける意気込みもすごく、自分もトーナメントの世界に引き込まれました。数々の優勝成績を上げた戦績もさることながら友釣りに対する意気込みや考え方、実践は今の最新の友釣りを作り上げる基となったと言っても過言じゃないでしょう。今の釣り具も釣り技も村田さんがいなかったらあり得なかったと言えるでしょう。
　当時、村田さんが引き釣りの雄としたら泳がせの雄は大西の満さん。細糸使いの両雄が「わしらが踏ん張らんとどないすんねん。」と村田さんがメタルの002を使えば大西さんはナイロンの008を使ってたという話を聞きました。その大西さんが昨年お亡くなりになられたら今年は村田さん。後を追うようにして時の両雄がお亡くなりになられ、一つの時代が終わった気がします。
　すばらしい世界を教えてくださった帝王村田さん、ありがとうございました。お疲れ様でした。
　ご冥福をお祈りいたします。